ハイパーインフレーションに苦しんだ過去
ムーギー:ダニエル自身が経験したのは、例えばどのような経済問題か?
ダニエル:以前のブラジルのインフレは極めて馬鹿げたもので、朝に飲んだコーヒーの値段が夕方には極端に値上がりしている、といった状況だった。だから皆、お金が入ったらすぐに消費してモノに変えていた。ハイパーインフレの恐ろしさを知っている我々からすると、デフレとか長らく言われているようだが、物価の安定している国が羨ましい。
ムーギー:南米というと経済成長の伸びシロが大きいイメージがあるが、周辺国でいうとどの国が調子いいのか?
ダニエル:南米で一番うまくいっているのはチリだ。南米はいい加減な政府が多いのだが、チリの政府はしっかりしていて、1990年代の経済危機の時に毎年黒字を積み立てようとなったので財政状態も極めて強固だ。これに加え、銅など鉱山資源が豊富で、その銅の値段がずっと爆発的に上がってきたものだから国が非常に潤っている。インフラもしっかりしているし、ビジネスの機会が大きい。
ムーギー:そういえば、アジア各国は海底資源などを巡って紛争の火種が絶えないのだが、南米で領土紛争は、大昔あったイギリスとアルゼンチンのフォークランド紛争とかぐらいしか覚えがないのだが、ブラジルの近隣諸国との関係はどうか?どこの国でも隣の国と紛争があるものだが。
ダニエル:ブラジルは特に、どこの国とも争っていない。最後にブラジルが海外と争ったり、内戦があったりしたことは、19世紀初頭以来一回もないんじゃないか?我々は戦争より、サッカーやサンバなどのお祭り騒ぎで忙しい(笑)。
ブラジルでの日系人社会
ムーギー:ブラジルというと日系人の移民が多いときくが、ブラジルで日系人の方々はいかがお過ごしか?社会にインテグレートしているのか、それともブラジル人コミュニティとは別れて暮らしているのか?
ダニエル:日本人は勤勉で真面目によく働くので尊敬されているし、社会によく統合されている。韓国人もブラジルには相当多い。ちなみにラファエル(我々の共通の友人)も日系ブラジル人だ。日本語をしゃべれなくなっている人が多いようだが、もともとの勤勉さもあってか、社会的に成功している人も多い。
ムーギー:それは、このインタビューが日本の一流経済紙にのるから、リップサービスで言っているのではないな?
ダニエル:はは(笑)大丈夫、本当のことだ。それよりこのインタビューで応えれば、日本の一流誌で有名になるというのは本当なんだろうな?
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