2014年のリスク要因は、フランス
中野 一方で、欧州はまだ波乱含みですよね。特にフランスは労働市場の硬直化が著しくて、労働者の権利が過保護なまでに守られています。これではコストカットができず、労働生産性を上げることができない。
従業員の給料も、経営者が決めることができず、基本的に労働組合に決定権があるという状況ですから、労働市場改革が必要でした。本来、オランド大統領は労働市場改革を訴えて登場したわけですが、現実問題、労働市場の改革がまったく進んでいません。このままだとフランス競争力は低下する一方です。2014年の世界経済にとって、フランスの問題はリスクファクターのひとつになるでしょう。
藤野 フランスはオランドさんを大統領に選んだこと自体が間違いだったと思います。
渋澤 ドイツは大連立政権が誕生して、メルケルさんは続投になったけれども、ユーロ全体で見た場合、ドイツだけが良ければいいのかという問題の解決策はなかなか見えないですね。その意味では、まだユーロは波乱含みの展開というところでしょう。
中野 とにかく、米国の強さが際立っています。でも、日本国内に目を向けると、円安になれば万々歳というわけでもないですよね。生活者の視点で考えれば、円安になるほど円の購買力が落ちるわけですから。
渋澤 政府関係者にとっても、あまり望ましくはないようですよ。例えば、日本政府の海外での活動に使っているお金はドル建てですが、予算は円建てで前年比と比べます。だから、同じ水準のドル金額でも、予算は20%増になってしまいます。
中野 円安になると輸出産業が潤うと言われていますが、実体はどうなのでしょう。
藤野 過去20年、25年のスパンで見ると、ドル円って1ドル=80円から120円の間を行ったりきたりしているだけなんですよね。確かに、1ドル=75円台をつけた瞬間は、「さらに円高が進む」、「1ドル=50円だ」などという議論も聞こえてきましたが、その後はご存じのように1ドル=110円に向かって円安が進んでいます。
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