不登校→東大進学した男性が親に感謝するワケ 息子のために引っ越しもした
先生を見ると胸が苦しくなる
「幼稚園へ行きたくない」という感情が出たのは、年中のころだったと思います。ある日のこと、僕は園内で転んでコンクリートに打ちつけ、前歯2本を折る大けがをしました。
幼かったので転んだことを誰かのせいにしたような気もしますが、ずっと泣き叫んでいた記憶は、今もはっきりあります。
救急車を待つあいだ、担任とはちがう強面の女性の主任教諭がやってきて、血をだらだらと流しがら泣きわめく僕を立たせると、迫力満点の形相でこう言いました。
「男なら泣くな!」
「転んだことも、歯を折ったこともおまえが悪いんだろ!」
今思えば、園児に治療を要するけがをさせてしまい、先生も気が動転していたのかもしれません。
責任の所在を明らかにすることで園を守ろうとしたのか、あるいは男としての強さやガマンの精神を学ばせたかったのか。その真意はわかりません。
抜歯などの治療を終え、翌週には幼稚園に復帰したものの、その先生を見ると胸が苦しくなる自分がいました。
そのとき頭をよぎったのが、「幼稚園に行きたくない」という感情です。
抜歯をすると熱が出ることもあるので、それからはちょっと体調が悪いと言っては、幼稚園を休むようになりました。
母はすぐに仮病を見抜き、これは登園拒否だなと気づいたようです。