国税庁はなぜ「節税保険」にとどめを刺したのか

契約した中小企業経営者は金融庁に「恨み節」

国税庁が問題視しているのは、定期保険に関する税務上の取り扱いだ。定期保険とは、保険期間中に死亡保障を備え、保険料が毎年変わらない保険のこと。法人税基本通達の中で、契約者が支払う保険料は全額を損金に算入できることが認められている。

しかし、定期保険の中には、死亡保険金額が保険期間中に徐々に上がっていく「逓増定期保険」などがあり、これは一部のケースを除いて保険料は全額損金とならない。こうした保険商品は、支払った保険料の80%以上が解約時に「解約返戻金」として契約者のもとに戻ってくる仕組みをとっており、これだけ多くのお金が戻ってくる以上、保険料は損金ではなく、資産として計上すべき、というのが国税庁の考えだ。

国税庁としては、全額損金扱いにすることを制限することで、過度な節税の動きに歯止めをかけてきた。しかし、近年、「節税保険」の販売競争がヒートアップし、これが国税庁を大いに刺激した。

「赤信号みんなで渡れば怖くない」

「とにかく違和感があった」

都内で複数の生保商品を扱う乗合代理店経営者は、2017年4月に発売された日本生命の「プラチナフェニックス」に初めて接した際の印象をこう語る。

同商品は、死亡保険の保障がついた定期保険だが、保障開始から最初の10年間の「第1保険期間」は、病気による死亡は保障せず、ケガや事故などの保障(傷害死亡保険金)だけになっている。

この商品では加入から10年目に解約返戻率(既払い保険料に対する解約返戻金の割合)がピークに達し、そこで解約すれば、保険料の80%以上が戻ってくる設計になっている。しかも、国税庁の基本通達にのっとって開発されており、保険料は全額損金扱いが可能とうたっていた。

「いつかは国税庁の指摘を受けるに違いない。でも、あの日本生命が金融庁から認可を取った商品だから大丈夫かも……」。この代理店経営者はこのように考え、「『赤信号みんなで渡れば怖くない』という気持ちから販売してしまった」と心情を吐露する。

次ページ日生に続き、保険各社が参入
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