「ポケモンGO」ARイベント仕掛人が語る舞台裏 アナログとデジタルが交差する独特の世界観
川島:BGMというのは僕からのリクエストなんです。真鍋さんが、ちょうどこのプロジェクトの前に、森美術館の「建築の日本展」に参加していたんですよね。
真鍋:はい。あれは齋藤(精一/ Rhizomatiks Architecture代表)の作品ですね。僕は打ち合わせにちょっと参加した程度ですが。
川島:これが素晴らしい展示で、自然の音とライゾマさんらしい電子音が重なり合って響いていて。だから、毛利庭園でも、自然の音、ポケモンの鳴き声、そしてライゾマっぽい音があると、もっとかっこいいんじゃないかと思ったんです。
ミーティングでそのことを伝えたら、真鍋さんは「ちょっと考えてみます」みたいな感じで。そうして仕上がってきたのが、東西南北を示す音。別に東西南北って意識すれば分かるんです。でも、意識しないと分からないし、普通は考えない。それを音に置き換えたってのが素晴らしくて。
「隠し味」としての音
真鍋:方角ごとに四つの音を考えました。作曲は、時間がインプットで、それに合わせて音を配置していく作業だと思いますが、位置情報や頭の向きで作曲ができるのではないか?と。 今回は公園だけでしたが、もう少し大きいスケールで街とか方角とか、その場所の特性をインプットにして音を生成するような。今回そのアイディアを試せて、いろんな人に体験してもらえたのはよかったですね。
川島:そういう音が作品に深みを与えていて、料理でいうと隠し味じゃないですけど、入っているか入っていないかで決定的に面白みが違う。あとはライゾマの原田克彦さんのお仕事にも感動しましたね。集音器のアイディアを考えてくれたときに、同じような形のものがどこかで安く売ってないかとも考えたんですけど、そう上手くは見つからなくて。
すると原田さんが「3Dプリンターで作っちゃいましょう!」って。それで、2、3日後には「できました!」って報告してくれて。そんな一手一手が本当にありがたくて。少しでも遅れていたら間に合わないギリギリのスケジュールだったんで。
馬場:そうですよね。1カ月切ってましたものね、すでにさっきの段階で。