「ポケモンGO」ARイベント仕掛人が語る舞台裏 アナログとデジタルが交差する独特の世界観

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馬場:すごいスケジュールですね……。

■制作の流れ
2018年
6月26日
 Niantic, Inc.と森ビルが「INNOVATION TOKYO 2018」を共催することが確定
8月
06日 Rhizomatiksによる毛利庭園のリサーチ
19日 LAにいた真鍋に川島が制作協力の打診
27日 最初のSkypeミーティング
29日 ポケモンとコラボレーションすることを打診
9月
06日 第1回ミーティング(顔合わせ)
20日 第2回ミーティング(ヘッドホン選定)
21日 集音器 試作スタート
26日 第3回ミーティング(実装面打ち合わせ)
10月12日 実施日

川島:このambieを使うことになったのは、実はバスキュールさんがきっかけなんですよ。バスキュールさんで、映画『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』のプロモーションとして〈渋谷フォールアウト〉っていうプロジェクトをやりましたよね。

馬場:ありましたね。ヘッドホンから聞こえる音を頼りに、渋谷に散らばった爆弾を解除するっていう体験型イベントでした(※2018年7月13日実施)。

ambieモンスターボールカラーの誕生

川島:そのイベントに僕、参加したんです。そのときに使われていたイヤーカフがambieだった。これはいいなって思ったんですよね。さらにその後、バスキュールの担当の方にポケモンのAR庭園にambieを使用したいと相談したら、「じゃあ、一緒に行きましょう」ってつないでくださって。

馬場:そんなことがあったんですか! 自社のことですが……知りませんでした。

川島:そうなんですよ。それでambieさんに、プロジェクトに無料でambieを貸し出していただけませんか?って直談判しに行ったんです。当たって砕けろ!って気持ちだったんですけど、「ぜひ!!!」と快諾いただけて。しかも、ambieの開発責任者の三原良太さんは、親子でPokémon GOのファンだったらしく、「ambieをポケモンカラーにしたほうがいいと思うので、僕が手作業で塗ります!」みたいなことも言ってくださって。

後日、「自分じゃ塗りきれなかったんで工場に発注しました!」ってメールも貰うんですけれど。その結果、ポケモンのアート推進室の皆さんもすごく喜んでくれて、最終的には後日、正式に商品「ambie sound eracuffs ポケモン モンスターボールカラー」として発売することになるという。

馬場:素晴らしい話ですね。

真鍋:そこまで決まってからは、ソフトとハードの実装チームのエンジニアとか、集音器をデザイン・製造するプロダクトデザインチームに分かれて、ひたすら制作を進めるという感じです。あと僕は、BGM的な音を付けたりする作業をしていました。

石原恒和/株式会社ポケモン・代表取締役社長からのコメント
「そもそものきっかけというか、私がやりたかったプランは、ポケモンをテーマとしたAR野外彫刻展でした。毛利庭園を舞台にポケモン彫刻が、クラシカルなキネティックアートからサイバネティック彫刻まで、様々なアート表現が試みられて、それがARで存在する。それをスマホやタブレットのカメラを通して見ると、あるいは望遠鏡のようなもので覗くと、とてもリアルにそこに実在している。とても小さなオブジェもあるので、みんなで探そう、みたいな展覧会のイメージでした。それを川島さんに相談していく過程で、もっと参加性の高いもので、ARに加えて位置情報で音を定位させる技術なども盛り込んで、と話がどんどん拡がって、今回の『Pokémon GO AR庭園』へと変わっていきました。これはこれで面白い試みとなったと思います。いつか『ポケモンをテーマとしたAR野外彫刻展』もやりたいとは思っていますが(笑)」
次ページ音として東西南北を表現したBGM
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