時代遅れ?日本の「遊学インバウンド」にも商機 中国人富裕層にとって日本は魅力的に映る
しかし、こうした体験をするのは至難の業のようだ。富裕層ファミリー向けに世界中の遊学ツアーを提供する会社の代表Bさんの話だと、「最近、日本で遊学したいというニーズが非常に増えているが、日本はなぜか全然受けてくれない。いくら交渉しても、学校も自分だけでは決められないというし、OKだった学校も中国からだとわかると断るし、日本人は外国人(中国人)が嫌いなんでしょうかね。政府機関や自治体は頑張って観光促進したいといって、当社まで営業に来るのに……」と嘆く。
たしかに、日本人の親から見ると、いきなり日本語がわからない外国人学生が学校に入ってきたら、不安だろう。英米の場合、多民族・多国籍の生徒が混在しているので、それほど嫌悪感を抱かない。むしろ、本当の授業の雰囲気を感じて、そしてできるだけ英語を話してほしく、わざわざ外国から来た学生を国籍のバランスをとりながらクラス編成するようである。
日本と中国にとってWIN‐WINになるかもしれない
例えば、春休みや夏休みなどの休み期間中に、日本の学生と一緒にワークショップをしたり、あるいは先生に日本のマナー・伝統文化について授業をしてもらったり、簡単な日本語を勉強できる場を用意することもよいだろう。ほんの1、2日だけでも、中国の子どもにとって、収穫が大きいのではないか。学校ではなくても、交流したい人を集めて交流するのでもよい。
そのうち、日本の文化・生活に理解が深まり、将来の日本観光はもちろん、留学ないし日本に関するビジネスに携わる可能性も高まる。随行する親にとっても、子どもが授業中、人間ドックを受けたり、買い物をしたり、観光したりすることで直ちに消費の創出につながる。
日本は昔から外国の学校を中心に「修学旅行」誘致に力を入れているようだが、経済状況と求める教育の多様化により、家庭単位の「遊学ツアー」という新しいツーリズムに着目すべきだ。
これは日本にとっても意味が大きいといえる。単にインバウンドを拡大するだけでなく、子どもの外国人との交流体験を増やすことは、日本の将来の国際化につながるものである。自分と異なる国・異なる言語の人と交流を図ろうとすることは、代え難い経験になるだろう。
今はまだ少ないが、少しずつこうした取り組みを行う地域や企業も出てきている。ビジネスの視点だけでなく、将来の国際人材の育成、国際的なビジネスの拡大という視点も見据えて、これからの遊学インバウンドを真剣に考える価値がある。「(外国/外国人のことを)知らないから怖い」ともよく言われるが、上記の教育や観光といった垣根を超えた連携はきっとプラスになるはずだ。
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