時代遅れ?日本の「遊学インバウンド」にも商機 中国人富裕層にとって日本は魅力的に映る

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Aさんはどんな日本観光をしているのか?

内容を聞いた筆者は「なるほど!」「日本観光にもチャンスがありそう」だと感心した。

それは、京都、奈良などで古刹巡りをすることだった。欧米の知識だけではなく、中国人(アジア人)としてアジア文化も身につけておくべき教養のひとつだと思うようになったので、日本への関心が高まるようになったのだ。日本では、歴史的な建築・漢字・茶道・華道など伝統文化が保存されており、それに触れることはよい教育だそう。

Aさんの場合、インターナショナルスクールに通う息子と一緒に日本各地でお寺、神社を見学し、歴史的なアジア文化と接触した。その成果を、撮影した写真とともに英語を使って学校で発表した。

発表会に参加したママ友から、「子どもからも聞いたのだけど、日本はよかった? どうやってプランをしたのか教えて?」と多く問い合わせがあったようで、結局自分でガイド(旅行攻略)を作ってママ友に配ったそうだ。その後来日した周囲の富裕層親子も多かったようである。「劉さんもそういう紹介・案内ビジネスをしたら? 赤字は出ないと思うよ」とAさんに言われたのが記憶に残っている。

確かに、自分が行くだけでなく、文化に詳しい人に説明してもらえたほうが理解が深まる。その時間を利用し、親たちオトナは一服し日本を楽しめる。ファミリーの遊学ツアーは、日本ではまだまだブルーオーシャンではないか。現在、京都をはじめ、プライベートで体験できるコースが増えているが、オトナ向けの内容が多い。子ども向けの市場を開拓する余地があるだろう。欧米と違い、多忙な親でもちょくちょく来ることが可能なため、ファミリー向け遊学ツアーとしてもとても魅力的だ。

中国の教育ママから日本への関心が高まっている

最近の日本観光ブームもあり、日本における教育・ライフスタイルの情報も中国で知られるようになってきた。「マナーがいい子どもの教育」「すごすぎる小学校の給食システム」「日本の部活文化」などの内容を通して、「他人に迷惑をかけない」「チームワーク」「食べるマナーの育成」「成績だけでなく思いやり」「スポーツは重要」といった日本教育のよさが少しずつ浸透してきている。

「一度でもいいからうちの子どもを日本の小学生と一緒に授業を受けさせて、魚の食べ方、あいさつの仕方を体験させたいわ」「日本のサッカーはレベルが高いようなので、学校と学校の間で親善試合ができるといいですね」「私も子どもと一緒に行きたいが、すべて面倒を見ないといけないので自分の楽しむ時間が足りなさそう……」。

訪日中国人富裕層へのインタビュー調査で、このような話がますます多くなっている。

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