依存症だった私が30日間「スマホ断ち」した結果 なんと1日101回も手を伸ばしていた

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脱スマホ計画で得られた最も思いがけない恩恵は、スマホと感情的な距離を取ったことで、スマホに改めて感謝するようになったことだ。ポケットに入っているこのデバイスのおかげで、料理や配車のオーダーができ、莫大な数の商品を自宅に届けてもらえる。知り合いと話すこともできるし、人生を写真に記録し、保存することもできる。人間の知識の集大成に画面を数回タッチするだけでアクセスすることもできるのだ。

スティーブ・ジョブズがiPhoneを「魔法のようなもの」と表現したのは決して大げさではなく、数年の間に私たちはこの素晴らしい魔法のツールをストレスの原因となる頭痛のタネにしてしまったのは愚かなことだ。

久しぶりに「人間に戻った」気がする

しかし、解決策はある。私はMRI検査も精神鑑定も受けていないが、脳内の何か根本的なものがこの1カ月で変化したと断言できる。数週間前までは、私のスマホの世界はオフラインの世界よりも魅力的に思えた。華やかで、スピードが速く、得られるものが大きいと。

その世界は今でも好きだし、これからもそうだろう。でも今は、現実世界もまた私をワクワクさせてくれる。そこには退屈さを感じたり、何もしなかったり、考え事をする余地がある。

もはやスマホが振動していないのに振動した気がすることもなければ、ツイッターの返信をチェックする夢を見ることもない。人と話すときは相手の目を見て、耳を傾けるし、エレベーターに乗るときも手には何も持たない。スマホにのめり込んでしまったときは、それを自覚し、自分で正すことができている。

完全復活とはいえないし、今後も油断はできないだろう。でも久しぶりに私は、人間に戻ったような気がしている。

(執筆:Kevin Roose、翻訳:中丸碧)

(c) 2019 New York Times News Service

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