受験や就職で不可欠な「PBL」の学びとは何か 「正確に素早く」とは違う力が求められている

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筆者は2014年から高校生向けのビジネスコンテスト「キャリア甲子園」、大学生向けのビジネスコンテスト「キャリアインカレ」を主宰している。日本航空や資生堂といった企業・団体からテーマが出され、学生たちは調査や課題分析をしながら企画を立て、最終的にプレゼンテーションで新規ビジネスプランを競い合うというビジネスコンテスト型PBLだ。

冒頭のPBLの例題は、このイベントで実際に出題した項目である。情報収集、分析、仮説構築、企画、プレゼンテーションスキルなど、これからのビジネスパーソンとして必須となる力を試させる舞台だ。“ビジネスコンテスト“という体裁を取ることで、取り組み内容を発表しただけで終わらせず、「勝ち負け」をつけるようにしている。また、学内で完結させないために、他校の学生と他流試合をさせている。厳しいビジネス環境をビジネスコンテストのフォーマットを使って再現した、年に一度の大会だ。

PBL取り組み校がビジネスコンテストの上位に

書類審査から決勝まで、約半年にわたり学生は答えのない問いに立ち向かわなくてはならず、決して楽な大会ではない。

勝ち進んでいく学校は、そうそうたる有名校が並ぶが、ここ数年で変化が生じている。難関大学への合格者を多数輩出するような、全国的知名度が高い学校でなくても、大会の上位に進むケースが増えているのだ。そうした学校に共通しているのは「PBLに取り組んでいるか否か」に尽きる。

「キャリア甲子園」の様子。情報収集からプレゼンテーションスキルまで実際のビジネス現場でも必要なあらゆる能力が求められる (撮影:大澤 誠)

「キャリア甲子園」に出場した埼玉県立坂戸高等学校は、この3年間で最も多くのチームが予選を通過し、全国大会の準決勝大会まで勝ち残った高校だ。全国でも有名な進学校が予選通過リストにずらりと並ぶ中、PBLで学んだ総合力で頭角を現している。

指導にあたっている石丸匡章教諭は「生徒たちからはもう『下克上』という言葉は聞かれない。学び舎は違えど、ライバルは同じ高校生。偏差値では測れないポテンシャルを思う存分に発揮してもらいたい」 と語る。

大学生が出場するビジネスコンテスト「キャリアインカレ」にも変化があった。これまで常連だった東京大学や慶應義塾大学のチームが決勝大会まで進めず、途中敗退したのだ。

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