「会社を赤字にする」営業に欠けている優先順位 優秀な人ほど「取引コスト」を意識している
コストに対する意識を強く持つようになったのは、結局、自分で独立してからでした。現在は、名古屋に住んでいるため、遠方(東京や大阪)での仕事も多く、交通費や宿泊費がそれなりにかかります。お客さまのところに、何度も通ったにもかかわらず、割に合わない仕事しか受注できなかったりすると、トータルで赤字になります。会社員のように安定した収入は入ってこないのです。出張で移動している時間は、読書ができますが、いつものように仕事はできないので、拘束時間も大きなコストになります。
私のような研修講師、営業コンサルタントの仕事は、どうしても、東京、大阪などの大都市に仕事が集中する傾向にあります。独立したての頃は、仕事欲しさに、東京や大阪ばかりに出張をしていました。ですが、取引コストを考え、出張費を抑えるため、あまり脈がない会社への訪問や、付き合いだけで遠方の人に会いに行く回数を減らしました。今では、なるべく地元の名古屋にいても、仕事が安定して受注できるように工夫しています。
このような経験もあり、営業マンのみなさんには、商品やサービスの利益を得ることだけではなく、私の営業研修では、こうした「取引コスト」も意識してもらうように教育指導するようにもなりました。
もちろん、私が接してきた中で本当にできる営業マンは、いわずもがな、この「取引コスト」をきちんと意識して動いています。いわば、敏腕営業マンに共通する現代ビジネスに必要な考え方と言っても過言ではありません。
では、どのようにしてこの「取引コスト」を、自分の営業活動に取り入れればよいのでしょうか?
今ではなく「将来性」を見据えた営業をする
取引コストを考えるうえで大切なのは、今ではなく、将来に向けた営業活動をすることです。営業マンは、どうしてもすぐに売上に繋がるお客さまや、仲のいい担当者がいるお客さまばかりに注力してしまいがちですが、将来的にトータルで売上を増やしていくためには、新しい仕事も受注していかなくてはいけません。
そのためには、将来の仕事が受注できる可能性がある会社を重要視することです。今まで、無償で配っていたサンプルを有償にしたり、出張費用の採算性も考えることなども必要になってきます。
ではここで、取引コストを考えるうえで最も効果のある方法をお伝えしましょう。
効果的な手段は「取引ランクに応じて訪問回数を設定する」ことです。
取引先を、現在の取引金額や、将来の可能性に応じてランク分けするのです。ランク分けの要素としては、会社規模、業界における位置、これまでの取引実績、競合他社が参入している予想額、担当者との関係などを考慮します。
大きく分けると4つに分類されます。
B:「取引金額は現状ではないが、今後の販売拡大が可能なお客さま」
C:「取引金額はそれなりにあるが、拡大余地の少ないお客さま」
D:「取引金額が少なく、拡大余地もないお客さま」