全てを抱えこむ「良妻賢母」になってはいけない 「完璧主婦」の亡霊に囚われてはいませんか

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とかく日本の女性は、家庭の仕事は女性の責任、たとえ仕事をしていても育児や家事をきっちりこなしていないと手抜きをしているようで後ろめたい、家族の快適な生活をマネジメントするのが妻の責任と思いがちです。でも専業主婦と同じように家事・育児を行い、専業主婦に支えられている男性と同じように仕事をするというのは不可能です。

正直な話、20世紀半ばに生まれた私たちの世代はまだ良妻賢母の幻想に囚われていました。社会や多くの夫も、家事育児を立派にこなせないなら、妻は働くべきでないと思っていました。

女性自身も、「仕事は自分が好きでしているのだから、妻が働いているということで夫に迷惑をかけてはいけない」と頑張る、それでも掃除が行き届いていない、料理が手抜きだと妻に文句を言う夫もいました。

家事にも優先順位を決めて取捨選択する

これからは食器洗い機、全自動洗濯機、お掃除ロボットなどの家電を使いこなして家事負担を減らすだけでなく、必要でない家事はしないか、減らしましょう。したほうがいいことをすべて何が何でも行うのでなく、そのための「コスト」と比べて優先順位を決め、取捨選択しなければ精神的にも参ってしまいます。

例えば、毎日の夕食は手作りの出来たてでなければと意気込んでいる人。理想的かもしれませんが、平日は時短料理、作り置き、外食、デパ地下のお惣菜、でも週末だけは手の込んだ食事を作るというようにメリハリを利かせましょう。

仕事をしていることで、家族全体に経済的にも精神的にもいいことがたくさんあります。ですから、優先順位が必ずしも高くない家事を省略する、切り捨てるのに罪悪感を持つのは「なし」です。

「家事の総量を減らす」ことの次は「誰かとシェア、もしくは外注する」です。少し費用はかかりますが、家政婦さんかお掃除サービスを利用する、下着以外はクリーニングに出すことにして、外注するのです。

次に重要なのはシェアです。ワンオペ家事で疲弊してしまわないことが肝心です。夫を戦力外と放置せず、家事を少しずつ訓練し、能力アップを図ってもらうことです。

仕事と同じことで、家事分担も期待し、機会を与え、訓練しなければ成長しません。経験がないせいで、家事は自分にはできないと思い込んでいる男性が多いのです。「男は家事をしない」と思い込んでいる男性もいますが、その数はかなり減ってきています。

もちろん子どもも戦力化しなければなりません。初めはお手伝いで親と一緒に料理や掃除をし、小学生にもなればゴミ出し、ベッドメイキング、トイレットペーパーの交換、お風呂掃除など、名もなき家事を自分の責任として分担するようにする。こうした能力を身に付けていると、母親が助かるだけでなく、その子が女の子であろうと、男の子であろうと将来自分の人生を生きていくうえで大きな力になります。筆者が責任を持って経営している昭和女子大学では、学生たちが「子どもに家事を教えることは未来を変える」というプロジェクトを行ったりもしています。

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