「疲れる友人」となぜか付き合い続ける人の心理 「コミュニティ」に入る事で安心してませんか

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さらに、これに嫌みが加わると、

A「この前、○○ホテルのランチに行ってきたの。平日だったからリーズナブルでよかったよ~」

B「優雅だね。正社員だと平日無理だわ」

A「そうだよね。フルタイムだと、どうしても週末になるよね」

B「シフトで休めるのはうらやましいわ。カレンダーどおりの休みだと旅行とかも割高で本当困るわ~。この前なんて料金、閑散期の倍だったよ」

こんな会話が続けば、別れた後は、どっと疲れてしまうと思います。

ひどいケンカをしたわけでもない、あからさまな嫌がらせでもないけれど、こうしたやり取りは、じわじわとダメージを長引かせます。

不快な感覚を無視せず、自分の捉え方がゆがんでいるのかなと思わず、相手との距離を取ったほうが無難です。

実は、友人関係の相談の中で多いのは、付き合いの中でストレスがたまり疲れてしまった、距離を置きたいが断るのも大変というものなのです。そして、「長い付き合いなので、今さら、疎遠にできない」や「嫌だけど、誘われると仕方なく出向いてしまう」という具合に、気持ちと行動が裏腹のまま、嫌々関係性を続けてしまうケースが多くみられます。

しかし、今までこうしてきたから断れないと思う必要はありません。時には断ってもよいですし、罪悪感を覚える必要はありません。

「1年生になったら、友達100人できるかな……」の歌に象徴されるように、友達が多いことがよいことのように錯覚しがちですが、無理をしてまで多くの友人と付き合うと疲弊するだけです。

接点が避けられない場合でも、自分のテリトリーをきっちり決めて、それ以上は付き合わないことが大切です。

「疎遠にしたら相手に悪いな」とか、「自分がさみしくなるかも」など複雑な感情が絡んで、やっぱりずるずると付き合ってしまうこともあると思いますので、選択の際のポイントをお伝えします。

相手との関りの中で、行かないで済む、会わないで済む、連絡を取らないで済む、というような「理由付け」「言い訳」を考えている時点で、心は拒否を示しています。

「○○しないで済む」のような方向に思考のエネルギーを傾けているかどうかが1つの指標となります。行きたい気持ちがあれば、あえて、行かなくてよい理由など考えようとは思いません。

楽しくないのに会う必要はなし

また、自分にゆとりがなかったり、環境や状況が変わると自分の価値観も変わり、今まで何でもなかったことが急に受け入れられなくなることもあります。その時々に応じて友人との付き合い方は変わるものなのです。

仕事上など、どうしても付き合わざるをえない場合を除き、思い切って縁を切ることも大切です。付き合い方を変えるという方法もあります。手放せば、新しいものが手に入るということもあるように、手放したことで新たな心地よい関係性と出会えるかもしれません。

身近な人間関係は、心身の不調にも大きく関わります。

特別な理由がないのに、なんだか気持ちがふさぐ、体調が思わしくないと感じている方は、身近な人間関係を見つめ直してみませんか。

もちろん人間同士、いつもいつもよい関係でいられるわけではありませんが、基本的には、

元気をもらえ、与えられる
楽しく笑い合える

お互いにプラスのエネルギー交換が生まれるような相手と友人関係を築いていきたいですね。

大野 萌子 日本メンタルアップ支援機構 代表理事

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おおの もえこ / Moeko Ohno

法政大学卒。一般社団法人日本メンタルアップ支援機構(メンタルアップマネージャ資格認定機関)代表理事、産業カウンセラー、2級キャリアコンサルティング技能士。企業内健康管理室カウンセラーとしての長年の現場経験を生かした、人間関係改善に必須のコミュニケーション、ストレスマネジメントなどの分野を得意とする。現在は防衛省、文部科学省などの官公庁をはじめ、大手企業、大学、医療機関などで年間120件以上の講演・研修を行い、机上の空論ではない「生きたメンタルヘルス対策」を提供している。著書に『よけいなひと言を好かれるセリフに変える言いかえ図鑑』(サンマーク出版)がある。

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