スパイク・リー監督が新作映画に込めた狙い 「笑える映画」でも人種差別問題鋭く切り込む
肌の色や人種などで壁を作り、憎しみ合うのはもう嫌だ――。
本年度アカデミー賞に6部門にノミネートされているスパイク・リー監督の映画『ブラック・クランズマン』(3月22日公開)は、白人至上主義を掲げる秘密結社KKKに、黒人刑事とユダヤ人刑事が潜入捜査を行った、という実話をエンターテインメント性豊かに描く。
時にはコミカルに、時にはハラハラドキドキさせながら描き出す、一級の娯楽作品となっている。だが、見終わった後に観客は、この映画が発する、祈りのようなメッセージをズシリと受け止め、衝撃を受けることになるはずだ。
物語の舞台は1970年代半ばのアメリカ西部に位置するコロラド州コロラドスプリングス。ここの警察署に初の黒人刑事として採用されたロン・ストールワース(ジョン・デヴィッド・ワシントン)は、新聞に掲載されていたKKKのメンバー募集広告を見て、電話をかけてみることにする。
黒人刑事がKKKへの潜入捜査に挑む
電話口ではあえて「わたしはアーリア人の家系の白人です。わたしが嫌いなのは――」と徹底的な黒人差別発言を続けるロンに、電話で応対したKKKの担当者ウォルターも「君はすばらしい!」と感動。あれよあれよという間に、KKK入会を勧められることになり、KKKコロラドスプリングス支部に行くことになる。だがここでロンは1つだけミスを犯してしまう。電話をした際に思わず自分の本名を名乗ってしまったのだ。
そこで「KKKに黒人がどうやって会うんだ?」という問題を解決するべく、同僚のユダヤ人刑事フリップ・ジマーマン(アダム・ドライバー)がKKKと直接対面することに。このようにして電話での会話はロンが行い、そしてKKKと直接対面し、内部調査と行動を見張るのはフリップが行う、という異色の潜入捜査が行われることとなった――。
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