栗山監督が「こっちの責任」といつも言う理由

責任は「取る」ものではなく「果たす」ものだ

王柏融を獲得し台北で会見を開いた北海道日本ハムファイターズの栗山英樹監督、2018年12月(写真:写真:AP/アフロ)
プロ野球パ・リーグの北海道日本ハムファイターズ。今や最も「若い選手が行きたいチーム」になっただろう。それは、就任8年目、12球団で最も長く指揮を執る栗山英樹氏の存在が大きい。
大谷翔平、清宮幸太郎、吉田輝星を引き寄せ、魅力あるチームづくりを続けている栗山監督の著書『稚心を去る 一流とそれ以外の差はどこにあるのか』を基に、勝利が求められるチームにおける「コーチ・監督の責任」を考える。

監督1年目、外野守備走塁コーチとしてチームを支えてくれた清水雅治コーチの言葉が忘れられない。

「コーチは自分がやりたいことをやるんじゃない。監督がやりたいことを実現させるのがコーチの仕事だ」

直接ではなかったが、それを伝え聞いたときには、身の引き締まる思いがした。それ以降も、たくさんのコーチのお世話になってきたが、感謝とともに、その仕事についていろいろなことを考えさせられてきた。

コーチの仕事に対して出来上がりつつある1つのイメージは「技術屋さん」。技術のプロフェッショナルであるコーチには、選手と一緒により高い技術を求め、一緒に探していってほしい。どうして打てないんだろう? もっといいアプローチがあるんじゃないか? こうしたらいいんじゃないか? ああしたらいいんじゃないか?

そうやって、できるだけたくさんの選択肢を提示してもらって、あとは選手に選んでもらう、それが理想だ。

もちろん監督もその手伝いはするし、コーチと技術的なことを話したりもするが、こっちにできるのは、メンタル面のケアだったり、それを引き出すための起用だったりする。

そこは明確に分けて、役割分担をしているつもりだ。

コーチは選手に教えるべきか否か

さて、そこで、もっと根本的な考え方として、コーチは選手に「教える」べきか否か、という点だ。

広岡達朗さんは、「教えるべきだ」と言う。落合博満さんは、「教えるのではなく、一緒に見つけることだ」と言っている。これは、どちらの考え方にも賛同できる。

広岡さんは、球史に残る名ショートだ。守りは、確かに教わるとうまくなる。本当にうまい人に教わりながら、徹底的に数をこなしていくと成果が表れるケースが多い。考えてみると、9割8分は成功するのが守備。ということは、論理的に正しい形があると考えたほうが筋は通りやすい。

一方、打つほうは、教わるとかえって打てなくなることがある。打ち方が理にかなったものに近づいたことで、無駄な間がなくなって、タイミングがずれたりする。だから落合さんは、「正しいことを教えるんじゃなくて、一緒に見つけることだ」と言っている。さすがだな、と思う。

確率で言えば、守備と違って4割打てるバッターはまずいない。ほぼ確実に6割以上は失敗するということだ。ということは、絶対的に正しい論理など存在しないのではないか、そう考えたくなってしまう。

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