栗山監督が「こっちの責任」といつも言う理由 責任は「取る」ものではなく「果たす」ものだ

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チーム防御率がもう少し良ければ、打率がもう少し高ければ、ホームランがもう少し多ければ、そうしたら優勝できたかもしれないとファンの皆さんはお考えになるかもしれない。でも、現場で戦っている自分の中には、そういった感覚はまったくと言っていいほどない。

いつも考えているのは、その数字でどうやったら優勝できるかということだ。2018年シーズンの数字でも絶対に勝ち切れたはずだし、優勝する方法はあったに違いないと思っている。

その数字で勝たせるのが監督の仕事

選手個々がいかにレベルを上げるか、数字を伸ばすかということは、正直なところ、監督が考えることではないと思っている。突き放すようで申し訳ないが、それは本人が考えればいいことだし、チームは選手のために専門職の指導者、コーチを用意してくれている。

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だから、レベルを上げるとか、数字を伸ばすためにどうするか、ということはそのコーチに相談して一緒に考えてもらえばいい。それをやるもやらないも、本人次第だ。結果が出なければ一軍にはいられないし、そのまま放っておけばいずれは厳しい状況に置かれる。

自分でできない選手は、どのみちやっていけない世界なのだ。

それをいつもちゃんとやってくれている前提で、その数字でチームを勝たせるのが監督の仕事だ。

「勝たせる」というのが少し誤解を招く言葉遣いだとすれば、「チームが勝つことを手伝う」と言えばより実感に近いだろうか。でも、それだと少しまどろっこしいので、伝わりやすさ優先で、ここはあえて「勝たせる」と表現させてもらう。

だから勝てなかったときは、選手は頑張って力を出してくれたのに、勝たせる方向にもっていってあげる努力ができなかったことが悔しいし、大いに反省しなくてはいけないとも思っている。

栗山 英樹 北海道日本ハムファイターズCBO

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くりやま ひでき / Hideki Kuriyama

1961年、東京都生まれ。東京学芸大学を経て、1984年に内野手としてヤクルト・スワローズに入団。1989年にはゴールデングラブ賞を獲得するなど活躍したが、1990年に怪我や病気が重なり引退。引退後は野球解説者、スポーツジャーナリストに転身した。2011年11月、北海道日本ハムファイターズの監督に就任。翌年、監督1年目でパ・リーグ制覇。2016年には2度目のリーグ制覇、そして日本一に導いた。2021年まで監督を10年務めた後、2022年から日本代表監督に就任。2023年3月のWBCでは、決勝で米国を破り世界一に輝いた。2024年から、ファイターズ最高責任者であるチーフ・ベースボール・オフィサー(CBO)を務める。

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