「ずっと体調悪い人」が知らない調子の整え方 大事なのは自分の「調子の波」を観察すること
本当は、どんな人であっても、好不調の波があります。つまり不調は固定したものではなくて、時間の波の一部なのです。どれほど調子が悪くても、ずっと悪いままではありません。いつか必ず、いや、案外早い時期に調子は上向いてきます。
ところが、「自分は仕事ができない人間なんじゃないか……」という不安が強すぎると、ちょうど心に悪いイメージの“レッテル”を貼ってしまうような効果が生じて、不調が続いてしまいやすくなります。また、こういう不安にとらわれているときは「なんとか挽回しなければ」と焦って余計な仕事に手を出し、かえってミスを招き、さらに自信を失ってしまうという悪循環に陥ることも少なくありません。
調子を落としているときに必要なことは「このまま不調が続くのではないか」という不安を払い、「なんとかなるさ」という、ある種の楽観主義を持つことです。
ただし、不安を払うためには「不安はよくないのだ」などと“心がけ”るだけでは、十分な効果は期待できません。それよりは、ほんの10分ほどでも休憩して、その間に深呼吸を数回する、身体を動かす、お茶やコーヒーブレイクをする、など具体的に節目の時間を持つのがよいのです。
そうして一度でも不安の軽減を実際に経験すれば、再び不調で落ち込んでしまっても、
(2)不安から解放された明るい自分に戻ることができる
という2点を、筋道を立てて思い出すことで不安は減少します。こうして1日のうちで不安に陥る時間が減少していけば、不調に陥る回数自体も減っていきます。なぜなら、「このままずっと、調子が悪いままだったらどうしよう」という底なしの不安こそが、実は不調を引き起こす、最大の原因だからです。
「いまは確かに調子が悪いけれど、時間が経てば必ず、いい時がやってくるさ」という楽観的な希望を信じる。その信じる根拠となる鍵が、自分の心身の状態をモニタリングすることなのです。
心身の状態を常日頃からモニタリングしていると、自分の調子の「波」が把握できます。1日の間の変化はもちろん、1週間、1カ月……、といったまとまった期間の「波」を自分なりに把握することができれば、多少調子を落としたところで、「また調子が上向いていく」ということを信じられるようになるのです。
「調子の波」を捉える練習
自分なりに「調子の波」を捉えておくことは、長期的に仕事のパフォーマンスを高いレベルで保ち続けるためには大切な習慣です。ただ、調子の波を感じ取るには、ある程度、自分自身を観察する「訓練期間」が必要です。
先に述べたとおり、身体の違和感を手がかりに、自分の調子の変化をチェックすることを日々の習慣のなかに取り入れてみてください。たとえば1日のうちで、午前中と午後の調子の違いを比べてみる。お昼ご飯を食べた後すぐと、数時間後の調子はどうか、人と会う前と、会った後ではどう変化しているか……。あるいは1週間のなかでどう変化しているか、1か月周期でみるとどうか……。