トップはアドバンスト・マイクロ・デバイシズ(AMD)で、1年間で約80%株価が上昇した。同社は世界的な半導体メーカーで、パソコン向けのCPUのほか、ゲーム機器向けの画像処理半導体(GPU)を手がけており、CPUとGPUを統合させたAPUの開発・販売にも注力している。
パソコンの販売台数が減少に転じた2012年以降、出荷数量の減少と価格低下に苦しみ、業績は厳しい状況が続いてきた。5年連続で最終赤字となり、その間、株価も2~5ドルでの推移が続いてきた。
だが、クラウド需要の拡大、ゲーミングPCや仮想通貨のマイニング需要の拡大によりCPU、GPUともに大幅な販売増となり、2017年は黒字回復を果たした。2018年に、仮想通貨のマイニング需要は鈍化したものの、引き続きPC向けを中心に好調を維持している。
株価は2016年半ばから2017年初にかけ上昇し、その後は2018年半ばまで10~15ドルのボックス圏内で推移していたが、8月から9月にかけ急騰し30ドルを超えた。10月以降は市場全体の下げに加え、第3四半期決算が市場予想未達だったことも響き大きく下落している。それでも年間の騰落率では1位を獲得した。
直近の水準は下降が続くが…
2位は医療機器メーカーのアビオメッド(ABMD)で、株価上昇率は73%を記録した。同社は1990年代から体外式補助人工心臓や、埋め込み式人工心臓の開発・製造・販売を手がけている。IMPELLA(補助循環用心内留置型ポンプカテーテル)を2004年から欧州で、2008年からはアメリカで販売しており、2017年9月に日本でも導入が始まっている。
売上高の規模は2018年3月期で5億9300万ドルとまだ小粒だが、収益ともに着実に拡大を続けてきた。2018年5月にS&P500銘柄に選定されたばかりだ。株価は2017年末まで緩やかな上昇トレンドを描いてきたが、2018年に入り上昇ペースが加速し、半年で株価は2.5倍に達した。その後は足踏みが続き、9月末には再び最高値をつけるも、直近まで大きく変動しながら水準を下げてきている。
3位のフォーティネット(FTNT)も18年10月にS&P500銘柄に選定されたばかりの新顔だ。2000年11月創業の若い企業で、通信事業者やデータセンターなどへのネットワークセキュリティーのインフラや各種サービスを提供している。2002年5月に最初の製品を出荷して以降、売上高は年々増加し、近年はクラウド拡大などを背景に勢いを増している。
株価は2016年初から上昇トレンド入りし、2017年秋以降は上昇ペースが加速し、2018年秋の最高値は92ドルに達した。ただ、その後の下落もあって、2017年末からの1年間の上昇率は61%となった。
2018年の米株式市場、代表的な指標の年間の騰落率は、ダウ工業株平均株価が5.6%、S&P500指数が6.2%、NASDAQ指数が3.8%、いずれも下落している。そういうなかでトリップアドバイザー(TRIP)までのトップ5は50%を超える上昇を、46位のマイクロソフト(MSFT)までは20%を超える上昇をみせた。
2桁上昇はフィデリティ・ナショナル・インフォメーション・サービシズ(FIS)までの96社で、175位のマキシム・インテグレーテッド・プロダクツ(MXIM、2018年12月選定)までが年間で上昇を果たしている。
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