アメリカ医薬企業が発揮する圧倒的な存在感 武田・シャイアーはどこまでくい込めるか

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今回はアメリカの医薬品関連企業を取り上げます。写真はイメージ(写真:Graphs / PIXTA)

約6兆8000億円という日本企業による過去最大の企業買収が動き出した。

12月5日に武田薬品工業が開いた臨時株主総会で、アイルランドの製薬大手シャイアー買収が承認された。世界の製薬企業売上高ランキングで19位の武田は、20位のシャイアーとの合併で一気に8位に浮上し、世界のトップ10の仲間入りを果たすことになる。

武田が巨額の資金を投じてでもシャイアー買収に踏み込んだのは、国内市場の成長が見込めないなかで、グローバル市場、特にアメリカへの展開を強化するという狙いがあるといわれている。

2019年1月には武田のシャイアー買収によるメガファーマの誕生も実現する。

調査会社IQVIAが発表した資料によると、2017年の世界の医薬品の市場規模は1兆1350億ドルで、このうちアメリカが4666億ドルと全体の4割を占める。日本は848億ドルで、中国(1226億ドル)に次ぐ世界3位の規模にある。

しかし、今後5年間の年平均成長率は世界で3~6%、アメリカは4~7%、中国は5~8%が見込まれているが、日本はマイナス3~0%と唯一マイナス成長になるとの予測が示されている。

医薬品業界は規模の大きな企業による寡占化が進んでいる。それだけに、グローバルな勝ち組として生き残るためには買収による規模の拡大は必要条件ともいえる。

売上高ランキング上位に名を連ねる大企業

冒頭に紹介した世界の医薬品企業の売上高ランキングのトップ20にアメリカ企業は8社ランクインしており、その筆頭がスイスのロシュに次ぐ2位のファイザー(PFE)だ。

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1849年創業の老舗は、19世紀後半から20世紀初頭にかけクエン酸の生産で拡大し、第2次大戦中にペニシリンの量産体制を完成させたことで知られている。

その後は研究開発を重視し、循環器系、神経系、鎮痛・抗炎症系など幅広い分野での新薬開発を手がけると同時に、積極的にグローバル展開を進めてきた。

またM&Aによる規模拡大路線を展開し2003年にファルマシアを、2009年にはワイスを買収。

2016年には皮膚科や美容医療に強く、シワ取り薬で有名なアイルランドのアラガン(AGN)との合併とアイルランドへの本社移転を発表したが、アメリカ政府から租税回避目的との批判・規制強化を受け中止に追い込まれた。

現在、同社の主力製品としては肺炎球菌ワクチン「プレベナー13」、疼痛治療薬「リリカ」、乳がん治療薬「イブランス」、経口凝固薬「エリキュース」などがある。

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