アメリカ医薬企業が発揮する圧倒的な存在感 武田・シャイアーはどこまでくい込めるか

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ファイザーに次ぐアメリカ2位(世界4位)の企業がメルク(MRK)。17世紀半ばにメルク家によりドイツで創業し、19世紀末にアメリカに進出。1891年にニューヨークのオフィスが分離して設立された新会社が起源で、第1次大戦後、独メルクのアメリカでの事業をすべて接収し完全に独立、現在に至っている。

循環器系疾患、糖尿病、肝炎、がんなどの分野で医薬品やワクチンを製造・販売しており、主力製品としては急成長中のがん免疫治療薬「キートルーダ」、糖尿病治療薬「ジャヌビア」「ジャヌメット」、子宮頸がんワクチン「ガーダシル」がある。2018年3月、エーザイの抗がん剤「レンビマ」の共同開発、共同販促に関して戦略的提携を発表している。

続いて、絆創膏「バンドエイド」やベビーオイル、洗口液「リステリン」で知られるジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)だが、医薬品で全米3位(世界7位)、医療機器でも世界トップクラスというヘルスケア分野の巨大企業だ。

医薬品部門では、主力の関節リウマチ治療薬「レミケード」が減少傾向にあるが、乾癬治療薬「ステラーラ」や前立腺がん治療薬「ザイティガ」などが伸びている。2017年に循環器系の希少疾患薬の開発で定評のあるスイスのアクテリオン・ファーマシューティカルズを買収し、肺動脈高血圧症治療薬が加わった。医療機器部門では手術用機器・器具・装置が中心だが、「アキュビュー」ブランドのコンタクトレンズなどアイケアにも注力している。

大手からベンチャーまで、層の厚いバイオ産業

バイオ医薬品の大手企業、ギリアド・サイエンシズ(GILD)は、HIV・エイズやB型・C型肝炎ウイルスなどの感染症治療・予防薬を得意としており、抗HIV薬「ゲンボイヤ」「ツルバダ」が主柱。また、抗インフルエンザ薬「タミフル」の開発企業として知られている。

ブリストル・マイヤーズ・スクイブ(BMY)は、1989年にブリストル・マイヤーズとスクイブが合併して誕生したバイオ製薬企業で、今年、京都大学の本庶佑特別教授がノーベル医学生理学賞を受賞したことで一般にも知名度が広がった免疫治療薬「オプジーボ」と、抗凝固薬「エリキュース」が収益の2本柱だ。

1888年創業で主にビタミンや静脈注射、麻酔薬などの製造で成長したアボット・ラボラトリーズ(ABT)は、1960年代以降、乳児用粉ミルクや栄養補助食品、血液診断・測定機器などの分野に進出し、1985年には世界で初めてHIV検査試薬を開発した。2013年に新薬事業を分離し、現在は栄養、検査・診断、後発医薬品などのエスタブリッシュ医薬、血管系を中心とした診断機器の4部門を展開としている。

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