アメリカ医薬企業が発揮する圧倒的な存在感 武田・シャイアーはどこまでくい込めるか

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バクスター・インターナショナル(BAX)は主力の腎臓透析関連製品・システムを中心に輸液や麻酔剤などを幅広く手がけている。2017年夏にクラリス・インジェクタブルズを買収し、ジェネリック注射剤事業を獲得した。

整形外科向けの医療器具に強いのは、ジンマーが同業バイオメットを統合して2015年に誕生したジンマー・バイオメット・ホールディングス(ZBH)。世界シェアトップの人工膝関節や人工股関節、骨接合材料、歯科用インプラントなどを製造・販売している。

小粒ながら最近急成長を見せている注目企業がインテューイティブ・サージカル(ISRG)とアライン・テクノロジー(ALGN)の2社だ。

インテューイティブ・サージカルは1995年創業、米軍の遠隔手術の技術から誕生した手術支援ロボット「ダ・ヴィンチ」を開発・販売している。

「ダ・ヴィンチ」は高精細の3Dハイビジョンシステムと手振れ補正機能付きアームが特徴で、アメリカだけでなく、アジアや欧州でも導入が増加している。

アライン・テクノロジーは1997年創業の歯列矯正器具メーカーで、独自の3D画像化技術やCAD/CAM技術を融合させたマウスピース型の矯正器具「インビザライン・システム」の開発・販売を行っている。

現在、「インビザライン・システム」は世界90カ国以上で提供されており、グローバルの拠点展開も進んでいる。

ペットに対する各種市場が拡大しているのは日本もアメリカも同様だが、ペットに対するヘルスケア分野を専業で展開しているのがゾエティス(ZTS)。

ファイザーの農畜産事業として設立され、2013年にスピンオフして誕生した新しい企業で、ワクチンや寄生虫駆除剤などを中心に家畜やペットの健康関連商品を幅広く手がけている。2015年にアボット・ラボラトリーズの動物薬部門、2018年には獣医師向け診断機器のAbaxisと買収を重ね、アニマルヘルスのトップ企業へと成長している。

企業の新陳代謝も活発なアメリカ

ネットメディア「米国IPO週報」によると、2018年1月から11月までのIPOは186社あり、このうち医薬品や医療機器関連企業は75社と全体の4割を占めている。

この業界は、研究開発に多額の資金や長い時間が必要なうえ、当たれば巨額の収益が得られるが失敗すればすべてが水泡に帰すリスクの大きな世界。

しかし、そこはアメリカ。

新しい企業が続々誕生し、成長した企業が他社を買収してさらに拡大したり、大企業に買収されその一部となったりと、絶えず変化を繰り返している。エキサイティングで目が離せない業界なのだ。

加藤 千明 ファイナンシャル・プランナー、「アメリカ企業リサーチラボ」運営

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かとう ちあき / Chiaki Kato

大手証券会社勤務の後、1993年7月、東洋経済新報社に入社。主に統計指標をベースとした刊行物を担当する一方、電機・化学業界担当記者としてITバブルの全盛期と終焉を経験。その後は、マクロ、マーケットおよび地域動向を主戦場に、データをもとにした分析、執筆などを行う。2005年より『東洋経済 統計月報』編集長、2010年より『都市データパック』編集長。『米国会社四季報』編集部を経て、2021年2月に退社。現在はファイナンシャル・プランナーとして活動するかたわら、アメリカ企業の決算情報を中心にSNSで発信。

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