アメリカの代表的な産業を中心に、『米国会社四季報』に掲載のある主要企業を紹介してきた。今回は大本命のIT産業をとりあげたい。
古くは1876年のグラハム・ベルによる電話機の発明から、1940~1950年代の半導体の開発、1990年代以降のパソコンとインターネットの普及、そして現在のGAFAに至るまで、IT技術の開発やIT産業の展開において、アメリカはつねに世界をリードしてきたといっても過言ではない。
2018年、注目浴びたGAFA
毎年発表される年末恒例の「ユーキャン新語・流行語大賞」、2018年のノミネート30語に「GAFA(ガーファ)」が選ばれた。
「GAFA」とは、現在の世界のIT業界の先頭に立つグーグル(社名アルファベット、G)、アップル(A)、フェイスブック(F)、アマゾン(A)の4社の頭文字をとった語で、この4社は今年1年間、業界の垣根を超えた事業展開とともに、とくに今年前半から中盤にかけては好調なアメリカ株式市場のシンボル的な存在としても注目を浴びた。
このうちアマゾンについては、連載第1回の小売業で取り上げたので、本稿では残りの3社について紹介していきたい。
まずはアップル(AAPL)。いまや伝説の経営者スティーブ・ジョブズが起業し、独自OSを搭載したパソコンの開発からスタート。
「iPod」「iPhone」「iPad」などを次々と世に送り出してきたことは周知の通りだ。またハードウエア以外にも、「iTunes」や決済システム「アップルペイ」など各種サービスを構築している。
『the four GAFA 四騎士が創り変えた世界』(スコット・ギャロウェイ著)では、同社の製品に輝くアップルのロゴは「世界に通用する富や教育、西洋的な価値観の象徴」であり、熱狂的なファン、特にイノベーティブな人々からは「信念体系を持ち、崇拝の対象となっている」という。それほどまでに世界中に製品やサービスが浸透した結果、株式の時価総額は世界で初めて1兆ドルを突破した。
かつて「ググる」という言葉が巷で使われていた。
前述の「新語・流行語大賞」でも2006年のノミネート語に取り上げられている。「グーグルで検索する」という意味の言葉で、10年以上前にすでに「グーグル」は検索エンジンの象徴的存在として認識されていたことになる。
調査会社スタットカウンターが公表するデータによると、直近2018年11月の検索エンジンのシェアは、全世界ベースではグーグルが92%とほぼ独占状態、日本ではヤフーが2割強ありグーグルは75%だが、両者の差は徐々に開いてきている。
前掲書で「我々の知識の源」であり「全知全能の神」と称されたグーグル。2015年にグループ再編を実施し、現在は持ち株会社アルファベット(GOOGL)の傘下にある。
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