アメリカ経済を象徴する「IT産業」の現在地 圧倒的優位性がなくなり熾烈な競争に

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ビジネスパーソンであれば、書類などPDF文書の作成・閲覧で日常的に使用しているソフトウエアが「Acrobat」。このソフトウエアを開発・販売しているのがアドビ・システムズ(ADBE)だ。

ほかにも画像編集ソフトの「フォトショップ」や、グラフィックデザインソフトの「イラストレーター」、データ分析ソフトなど有力ラインナップを保有している。これらのソフト販売をパッケージからクラウドサービスに移行し、収益力が格段に向上した。

企業向け顧客管理(CRM)サービスの分野でも、もはやクラウドが主流になってきた。この分野ではセールスフォース・ドットコム(CRM)が先頭を走る。

営業支援からマーケティング、カスタマーサポート、eコマース支援などさまざまな機能のSaaS(サービスとしてのソフトウエア)を展開している。2018年3月に同業のミュールソフトを、同8月にはデータ解析プラットフォームのデートラマを買収するなど、攻勢を強めている。

新規プレーヤーも続々参戦している

クラウド需要の高まりを受け、サービスを提供する企業も続々と成長している。世界最大のCDN(コンテンツ・デリバリー・ネットワーク)事業者であるアカマイ・テクノロジーズ(AKAM)は、世界中に24万台以上のサーバーを配置しインターネットの状況を監視して、Webやモバイルのパフォーマンス向上、クラウド・セキュリティサービスを提供している。

【2018年12月26日12時30分追記】初出時、アカマイ・テクノロジーズのサーバー配置台数に誤りがありましたので上記のように修正いたしました。

顧客にはアップルやコカ・コーラ、GEなどの大企業のほか、アメリカ国防総省やアメリカ労働省など政府機関の名前が並ぶ。

クラウドを活用して企業向けに財務・人事関連のソフトウエアを提供しているのがワークデイ(WDAY)。人事、経理、財務といった異なる部門のデータを単一システムで管理するアプリケーションが特徴で、グローバル企業から中小企業まで幅広い顧客への対応が可能。セキュリティ強化にも注力しており、こちらもユニリーバやビザ、トヨタや日立製作所など国内外の大企業が顧客となっている。

クラウド関連は高成長が期待できる分野の一つだけに、続々と新しいプレーヤーが参入している。

2018年に新規上場したクラウド関連企業としては、共有ファイルサービスのドロップボックス(DBX)、電子署名サービスのドキュサイン(DOCU)、課金管理のズオラ(ZUO)、セキュリティサービスのゼットスケーラー(ZS)やカーボン・ブラック(CBLK)などがある。

セキュリティ分野の大手企業シマンテック(SYMC)はウイルス対策ソフト「ノートン」で有名だが、やはりクラウドベースでのビジネス展開に軸足を移している。

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