米国主要企業「2018年株価騰落率」ランキング 上昇相場が終焉で市場に明暗

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2019年がスタートしてまだ3週間にすぎないが、年始早々の米株式市場はアップルの業績下方修正をきっかけに急落し(アップル・ショック)、すぐさま急反発に転じるなど、波乱の予感を感じさせる展開となっている。

これを受け、FRBはこれまで2019年は2回と想定していた利上げについて、ジェローム・パウエル議長が一時停止を示唆するなど、市場の動きを慎重に見守る姿勢へと転じている。

昨年秋以降の株価下落の要因の1つでもある米中貿易摩擦の影響は確実にアメリカ企業へも波及しつつあり、これから本格化する2018年の決算発表に注目が集まる。基本的には2018年実績は好決算が予想されるが、2019年の見通しはそれほど楽観できない。

中国に対する姿勢も、マイク・ペンス発言にあるとおり強硬路線が既定方針といえる。昨年の中間選挙の結果を受け議会は上下院でねじれ状態となっており、ドナルド・トランプ大統領の政権運営は一段と厳しいものとなる。すでに政府機関閉鎖の影響は出始めている。

まだまだ魅力的は企業はたくさんある

先行き不安材料が多く、波乱が予想される2019年の株式市場だが、独創的な商品やサービスを開発している企業、他の追随を許さない開発力を持つ企業、他社とのコラボレーションによって規模の優位性を狙う企業、圧倒的なブランド力や販売力でグローバル展開を強める企業など、魅力ある企業はたくさんある。残念ながら淘汰され消えていく企業もあるが、それも健全な市場であることの裏返しでもある。

『米国会社四季報』を活用して、有望な企業を見つけていただき、長期的な視点から多少の波乱には動じることなく、米国株投資を楽しんでいただければ幸いである。

加藤 千明 ファイナンシャル・プランナー、「アメリカ企業リサーチラボ」運営

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かとう ちあき / Chiaki Kato

大手証券会社勤務の後、1993年7月、東洋経済新報社に入社。主に統計指標をベースとした刊行物を担当する一方、電機・化学業界担当記者としてITバブルの全盛期と終焉を経験。その後は、マクロ、マーケットおよび地域動向を主戦場に、データをもとにした分析、執筆などを行う。2005年より『東洋経済 統計月報』編集長、2010年より『都市データパック』編集長。『米国会社四季報』編集部を経て、2021年2月に退社。現在はファイナンシャル・プランナーとして活動するかたわら、アメリカ企業の決算情報を中心にSNSで発信。

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