1年先は無収入、音楽家が発揮した凄い営業力 パワフルなトランペット奏者、ジェフ・コナー

✎ 1〜 ✎ 3 ✎ 4 ✎ 5 ✎ 6
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
今回の起業家的音楽家の連載ではトランペット奏者のジェフ・コナー(Jeff Conner)氏を取り上げます(写真:Furtseff/iStock)
『……ぼくは毎日3時間とか4時間、いろんなひとに営業の電話をしまくっていた。そうやって、演奏会情報などをいろんなひとに知らせていたんだ。グループとしてやっていくのに、それぐらいの努力が必要だった。電話の相手に断られることを恐れずにね。』――ジェフ・コナー/トランペット奏者

フリーランス音楽家というと、読者の皆さんはどんなイメージを持つだろうか?

筆者は音楽家を志し、音楽大学進学のための勉強をしていた高校生のころ、その後ドイツの音楽大学に在学中にドイツのフリーランス音楽家たちと接したとき、あるいは卒業後に実際にその1人となって演奏活動をしていたころ、フリーランス音楽家というものを「オーケストラ団員という最高峰のポジションは実力不足または運がなくて得られなかったが、能力はありプロレベルで演奏できる人たち」といったイメージを持っていた。

この連載の一覧はこちら

しかし、世界4大陸30カ国で演奏をし、30年にわたって最大級の成功を収めている金管楽器アンサンブルグループ「ボストン・ブラス」の創設者で現役メンバーであるトランペット奏者ジェフ・コナーの場合、そもそもオーケストラ団員を目指すこともなく、初めから金管アンサンブルに自分の人生を捧げる決心をし、その実現のための「手段」として飽くなき営業活動を遂行してきた。

本記事では、冒頭の言葉のように、楽器の練習や演奏のリハーサル、多大なるエネルギーを要するコンサート活動の傍らでいかにして膨大な量の営業努力をこなすことができているのか、そのモチベーションとエネルギーの源泉に焦点を当てたい。

ジェフ・コナーの成功譚

ジェフ・コナーは、故レナード・バーンスタインが携わったことでご存じの方も多いタングルウッド音楽祭において、金管アンサンブルというジャンルの先駆者である「エンパイア・ブラス」というグループの演奏に接した。

『……当時は彼らがどうやってあの音を生み出し、どうやってあの活動を実現していたかまったくわからなかったけれど、それでも自分もこれをやっていこうと決心した』(The Entrepreneurial Musicianでのインタビューより。全文日本語書き起こしはこちら

原初において、深い感銘が刻まれている。興味深いのは、「これをやる」という決心が先になされているため、以後の困難はこの道を諦める理由には一切なっていないことだ。

次ページこれはトップアスリートの成功にも似ている
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事