1年先は無収入、音楽家が発揮した凄い営業力

パワフルなトランペット奏者、ジェフ・コナー

今回の起業家的音楽家の連載ではトランペット奏者のジェフ・コナー(Jeff Conner)氏を取り上げます(写真:Furtseff/iStock)
『……ぼくは毎日3時間とか4時間、いろんなひとに営業の電話をしまくっていた。そうやって、演奏会情報などをいろんなひとに知らせていたんだ。グループとしてやっていくのに、それぐらいの努力が必要だった。電話の相手に断られることを恐れずにね。』――ジェフ・コナー/トランペット奏者

フリーランス音楽家というと、読者の皆さんはどんなイメージを持つだろうか?

筆者は音楽家を志し、音楽大学進学のための勉強をしていた高校生のころ、その後ドイツの音楽大学に在学中にドイツのフリーランス音楽家たちと接したとき、あるいは卒業後に実際にその1人となって演奏活動をしていたころ、フリーランス音楽家というものを「オーケストラ団員という最高峰のポジションは実力不足または運がなくて得られなかったが、能力はありプロレベルで演奏できる人たち」といったイメージを持っていた。

この連載の一覧はこちら

しかし、世界4大陸30カ国で演奏をし、30年にわたって最大級の成功を収めている金管楽器アンサンブルグループ「ボストン・ブラス」の創設者で現役メンバーであるトランペット奏者ジェフ・コナーの場合、そもそもオーケストラ団員を目指すこともなく、初めから金管アンサンブルに自分の人生を捧げる決心をし、その実現のための「手段」として飽くなき営業活動を遂行してきた。

本記事では、冒頭の言葉のように、楽器の練習や演奏のリハーサル、多大なるエネルギーを要するコンサート活動の傍らでいかにして膨大な量の営業努力をこなすことができているのか、そのモチベーションとエネルギーの源泉に焦点を当てたい。

ジェフ・コナーの成功譚

ジェフ・コナーは、故レナード・バーンスタインが携わったことでご存じの方も多いタングルウッド音楽祭において、金管アンサンブルというジャンルの先駆者である「エンパイア・ブラス」というグループの演奏に接した。

『……当時は彼らがどうやってあの音を生み出し、どうやってあの活動を実現していたかまったくわからなかったけれど、それでも自分もこれをやっていこうと決心した』(The Entrepreneurial Musicianでのインタビューより。全文日本語書き起こしはこちら

原初において、深い感銘が刻まれている。興味深いのは、「これをやる」という決心が先になされているため、以後の困難はこの道を諦める理由には一切なっていないことだ。

次ページこれはトップアスリートの成功にも似ている
ライフの人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 最新の週刊東洋経済
  • 自衛隊員も学ぶ!メンタルチューニング
  • 賃金・生涯給料ランキング
  • 赤木智弘のゲーム一刀両断
トレンドライブラリーAD
  • コメント
  • facebook
-

コメント投稿に関する規則(ガイドライン)を遵守し、内容に責任をもってご投稿ください。

ログインしてコメントを書く(400文字以内)
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
子どもの命を守る<br>続発する虐待死、その真因を探る

子どもをめぐる悲惨な事件が後を絶たない。親からの虐待、保育園事故、不慮の事故……。子どもの命の危険とその解消策を検証した。長時間労働が深刻な児童相談所の実態、低賃金・高賃金の保育園など保育士の処遇に関する独自調査も。