東洋思想の根源に学ぶ幸せな子どもの育ち方 親は子どもにどんな生き方を勧めるべきか
田口:幸福のもとになるのは、私たちに生まれながらに備わっている心の本体、「明徳仏性」というものです。先ほども「徳」とは、人間に備わっている善き性質である、と述べましたが、私なりの言い方をすれば、「徳とは、自己の最善を他者に尽くし切ること」です。
持って生まれた徳を素直に出すことが「明徳」ですから、つねに「自己の最善を他者に尽くし切ろう」という精神をもって生きることが「明徳をわきまえた生き方」です。
明徳を常にわきまえているということは、何事に対しても、欲深くなく、怒らず、頑固でなく、面倒だと思わないということ。
どんなときでも「この人の役に立てることはないかな」「期待されている以上に喜んでもらえるやり方はないかな」と考えて動くわけですから、どんな人にも感謝され、「ありがたい」と言ってもらえるでしょう。本人も幸せな心持ちを手にすることができる。
「自己の最善を他者に尽くし切る」
今の時代、「幸せ」というと、お金や名誉や地位など、外から得るもの・与えられるものだ、というイメージを持っている人も多いですが、本当の「幸せの形」とは、「自己の最善を他者に尽くし切る」という徳を生きていることだと思うのです。
中江藤樹が女性のために書いた『鑑草(かがみぐさ)』という本があります。ここに役に立つことが書かれています。
「つくづく世間で言っている幸福というものに思いを巡らしてみれば、身体が健康で、心は平穏、そして自分の子孫が代々繁栄することが最上の幸福だと思われる」と書いてあるのです。
「長生きすることはその次。地位や名誉を得て裕福になることは、幸福としては最後に来るものである」と。
ここが重要なところです。
「地位や名誉を得て裕福になることは、幸福としては最後に来るもの」という中江藤樹の言葉も、幸せの形を教えてくれています。
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