東洋思想の根源に学ぶ幸せな子どもの育ち方

親は子どもにどんな生き方を勧めるべきか

どうすれば幸せな子どもが育つのでしょうか(写真:EKAKI / PIXTA)
子どもの幸せを願わない親はいないが、「どう育てたら幸せな子ども、幸せな人になっていくのかがわからない」という親も多い。どうしたら、愉快な人生を送れる人間になれるのだろう? 
本記事では東洋思想研究者である田口佳史氏と枝廣淳子氏の共著『ぶれない軸をつくる東洋思想の力』の内容から、どうすれば幸せな子どもが育つのか、どんな生き方を勧めればよいかを田口先生に質問する形で一部抜粋して紹介します。

悩んだら、田口先生に聞いてみよう

質問 『君たちはどう生きるか』がベストセラーになっているように、どう生きていけばいいのか悩む人が、年齢を問わず、増えていると思います。親は子どもに、どういう生き方を勧めればいいのでしょうか?

田口:『論語』に「人之生也直」(人の生くるや直し)という言葉があります。実は、『論語』で人生論そのものを語っているのは、ここだけです。「人の生くるや」って人生のことで、「直し」とは「素直でなきゃ駄目なんだよ」ということです。

「素直」というのは一生の財産になります。私がずいぶんお世話になった松下幸之助さんも、一番最後に「遺言を」と頼んだら、「素直」と言ったのですよ。

「素直」がなぜ重要なのか? 素直な人のほうが受容能力があるからです。

私は若いころ、巨人軍をV9に導いた川上哲治監督にいろいろお世話になったことがあります。その川上さんに「名選手の条件って何ですかね?」と聞いたことがあるのです。 どういう答えが返ってきたと思います?

それは「基本がちゃんとできていること」という返事だったのです。そこで、「基本って何ですか?」と聞いたら、「正しく投げて、正しく捕って、正しく打つということだ」と言うのですよ。

「そんな高校野球みたいなことでいいんですか?」と言ったら、「冗談じゃない。ジャイアンツに入ってくるぐらいの選手でも、これができてる選手は稀なんだ」とおっしゃる。「じゃあ、王とか長嶋はどうだったんですか?」と言ったら、「王はここが足らない、長嶋はここが足らない」と挙げていく。

王や長嶋ですらそうですからね、つまり、完璧な人なんていない。としたら、誰であっても、まずは基本がちゃんとできていなくてはいけない、ということになります。だから、当時二軍は多摩川グラウンドで練習していたのですが、「多摩川グラウンドへ送って、正しい投げ方などをちゃんと教えるんだ」と言っていました。

ビジネスでも同じですよね。基本をなおざりにしたまま中途半端にベテランになってしまうと、やっぱり伸びない。川上さんは「基本があれば、選手寿命を長くすることができる」と言っていたのですが、なるほど!と思いました。

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