「文系は理系よりも使えない」風潮にモノ申す 優秀な経営者は「小説」も「帳簿」も読める

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人文学的な思考で育まれる知を疎かにした先にある未来とは(写真:cba / PIXTA)
世界的に「人文科学系」の地位が低下しています。アメリカでは大学の研究費においては自然科学系が優遇され、学生たちの人気もそちらに集まっています。もはや人文科学系は時代遅れの学問なのでしょうか? そんな風潮に『センスメイキング』著者であるクリスチャン・マスビアウ氏は異議を唱えます。人文科学系の未来が決して暗くない理由とは。

最近は、アマゾンやグーグルをはじめ、数え切れないほどのアプリやベンチャー企業がビッグデータを活用している話題で持ち切りだ。企業の評判などを社員が評価するサイト「グラスドア」では、求人数、給与、昇進機会の観点から2016年の米国ナンバーワンの職種は「データ・サイエンティスト」だったと発表している。

われわれは、データが多ければ気づきやひらめきも多くなると信じ切っている。100人を対象にしたデータを見ていて何らかの学びがあるとすれば、何万人ものデータなら学びは爆発的に増えるだろうか。あるいは何億人ものデータならどうだろう。何十億人に増やしたら……。フェイスブックCEOのマーク・ザッカーバーグが、人々のビッグデータ中毒を見逃すはずもなく、先頃投資家向けに、フェイスブックで機械学習を活用し、「世界のありとあらゆる事象を網羅する決定的なモデル」を構築すると語っている。

年々、人気が衰えている「人文科学系」

学生も、その風潮を察知し始めている。アメリカの超一流大学では、かつては専攻分野として英語や歴史といった教養系が高い人気を誇ったが、工学や自然科学への関心が高まったあおりで、多くの人文科学系学部が衰退している。

1960年代以降、人文科学系で授与された学位数は半減している。人文科学系の研究助成金も激減の一途をたどっていて、2011年には科学技術系の研究開発助成総額の0.5%にも満たない状態だ。社会科学系でも、ソーシャル・ネットワーク分析や計量心理学といった定量研究が優勢で、社会学や人類学といった定性的(質的)研究は時代遅れと見られている。

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