乙武:ユニフォームにスポンサーのロゴが貼られていくわけですね。これから2020年に向けて、さらにそのロゴを増やしていきたいところですよね。
美遠:はい、頑張りたいと思います。
見た目では理解されにくい障害
乙武: 2020年の東京パラリンピック招致が決まって以降、たとえば大会の観客が増えたなど、何か体感できる変化はありますか?
美遠:少しずつですけど、お客さんも増えましたね。あとはプレーする選手が増えました。私が始めたころの知的(部門)は、国内で男女合わせて150人くらいでしたけど、いまは200人くらい。すごく増えてきたなと感じます。
乙武:美遠さんが日本選手権で初めて優勝したのが2年前。追う立場と追われる立場、どちらが大変ですか?
美遠:やっぱり追われる立場ですね。それはすごくプレッシャーを感じます。
乙武:じつは、今日こうしてお会いするまで、美遠さんとどの程度のコミュニケーションが取れるのかわかりませんでした。ところが、こうしてお会いしてみて、まったく問題ないことに驚いています。知的障害だと言われても、にわかには信じられないくらい。
美遠:初めてお会いした方には、だいたいそういうふうに言われます。
乙武:美遠さん自身、生活の中で不便を感じるのは、どのような場面ですか。
美遠:初対面の人とどう関わっていいのか、どこまで踏み込んでいいのかとかがわからないので、けっこう引いてしまうというか。あとは、相手から「これどうですか?」とか「どうしたい?」と聞かれても、選択肢がないと何て答えたらいいのかわからなくて止まってしまうんです。たとえば、「これとこれなら、どっちがいい?」みたいな聞き方をしてもらえると答えやすいんですけど……。
乙武:なるほど、そういうところに困難があるのですね。美遠さんの場合、私と違って見た目ではわからない障害ですから、周囲の理解を得るのに時間がかかることもあるのではないですか?
美遠:自分から言わないと、なかなか理解してもらえないですね。高校時代は仲のいい先生が異動でいなくなってしまって、周りの人とうまくコミュニケーションが取れなくなってしまって……それで不登校になってしまったんです。
乙武:実は今日いちばんお聞きしたかったことなんですが、卓球という競技において、健常者と比較して知的障害者が不利になるのはどのような点ですか?
美遠:うーん、いまオリンピックの選手と知的の選手が試合しても、それは勝てないと思うんですね。でも、不利な点……うーん、どうですかね……不利な点……うーん、ないかもしれないですね。
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