知的障害部門で「金」狙う、東京パラ期待の星 最初は遊び感覚だった卓球で彼女は戦う

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乙武:先日も世界選手権が開催されましたが、どこで開催されたのですか?

美遠:スロベニアです。

乙武:スロベニア! 私たち日本人にとっては、なかなか訪れる機会のない国ですよね。どんな国でしたか?

美遠:とても自然が豊かで、すごくすてきな国でした。

乙武:卓球における強豪国といえば中国が真っ先に思い浮かぶのですが、やはりパラリンピックでも中国が強いのですか?

美遠:いえ、知的(障害)だと、ウクライナやロシアとか。中国はいないんです。アジアだと香港が強いですね。世界選手権で私が負けたのも香港の選手です。

乙武:え、あの“卓球王国”である中国が、知的障害部門ではまったくいないんですね。これは意外でした。ちなみに私はまだ美遠さんのプレーを拝見したことがないのですが、フォアとバック、どちらが得意などありますか?

美遠:私はバックのほうが得意です。ただ、世界レベルになると苦手なフォアの部分を狙われてしまうので、いまではフォアの練習を一生懸命やるようになりました。

自分の意志をもってプレーしたい

乙武:これまでは得意な部分に磨きをかけて練習してきたものの、世界で勝つことを考えると苦手な部分も徹底的に強化していかなければならないのですね。ほかに、技術、体力、メンタルなど、現時点での課題はありますか?

普段の練習でやっていることを試合でも出せるようにしたい(撮影:友清 哲)

美遠:すべてだなと思っています。体力もそうですし、普段の練習でやっていることを試合でも出せるようにならなくちゃいけないですし、周りに振り回されず、しっかりと自分の意志をもってプレーしなくちゃいけないなと思っています。

乙武:まわりに流されてしまうことって、よくあるんですか?

美遠:どうしても周りの声が気になってしまうんですよね。たとえば試合中、自分ではこうしたいと思っていても、コーチからアドバイスを受けたりすると、その通りにしてしまって自分のプレーができなくなったり。でも、その反対にそのおかげで勝てたりすることもあるので難しいところです。

乙武:ところで、美遠さんは新潟県在住ですよね。たとえば東京であればパラアリーナ(東京都品川区)もあるし、練習相手や指導者なども含め、環境を整えやすいのではないかと思うのですが、地方に拠点を置くことで何か不便や不都合を感じることはありますか。新潟からの交通費もばかにならないですよね?

美遠:そうですね。練習場所は開志国際高校や所属チームの施設である「みんなの卓球」、あとは地域の体育館など、その時々に応じて練習環境を変えて利用しています。現在はヒッティングパートナーの人と待ち合わせて普通の体育館を予約して、一般の人たちが使うなかで一緒に練習しています。

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