乙武:すると、隣の台では一般の利用客がプレーしているわけですね。その方々も、まさか隣でパラリンピック選手が練習しているとは夢にも思わないでしょうね(笑)。
美遠:そうですね(笑)。いつもヒッティングパートナーの仕事の都合に合わせて体育館を借りて、だいたい2時間~2時間半ほど練習しています。
乙武:以前、伴走者を必要とする視覚障害のあるマラソンランナーに話を聞いたことがあるのですが、彼らは伴走者を務める数人の方たちとLINEグループをつくっているそうなんですね。そこに選手本人が「何日の何時から練習したいのですが、誰か都合つきませんか?」と声をかけると、予定の合う人が手を挙げるという仕組みが作られていました。美遠さんの場合はどのようにされていますか?
美遠:私もヒッティングパートナーが2人いるので、同じようにLINEグループでやりとりしています。そのほかに、遠征のときは母が同行してくれたり、こうして上京するときは姉がサポートしてくれたり、周囲の人たちに支えられています。
地域がクラウドファンディングでサポート
乙武:やはり、みなさんそうやって工夫しながら、やりくりされているんですね。ちなみに遠征にはお母様も同行されるということですが、その金銭的負担というのは……。
美遠:まあ、自費ですね。
乙武:そうなんですね。さすがに美遠さんの分というのは協会が……。
美遠:大会のエントリー費など一部は協会が負担してくれていますけど、ほとんどは自費になります。
乙武:え、2020年の招致が決定した今でも、遠征費などほとんどが自己負担なのですね。ちなみに自己負担となるのは、年間でどれくらいの金額になりますか?
美遠:(隣の姉に確認して)だいたい200万~300万円です。
乙武:それは大変ですね……。
美遠:ただ、今年になって私が住んでいる新発田市がクラウドファンディングという仕組みで活動資金を集めてくれたんです。
乙武:それはすごい。地域で熱烈に応援してくれている様子が伝わってきますね。
美遠:そうですね。本当にありがたいです。あとは、私にはユニフォームやシューズを支援してくれるスポンサーもいるのでそれもすごく助かっています。
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