乙武:ほお、そうですか。となると、美遠さんが現役中に、もしくは後の時代の選手がオリンピックの選手と戦って勝利する時代というのが、いつかやってくるかもしれない。
美遠:いまでも知的(障害)の子が健常者に混じって市民大会とかに出て優勝したりもしているので、いつか知的の選手がオリンピック選手と試合しても勝てるような日がくるんじゃないかなと思っています。
知的障害者競技の存在をもっと知ってほしい!
乙武:美遠さん自身、オリンピックに出たいという思いはないんですか? たとえば、2020年はパラリンピックで金メダルを獲って、2024年はオリンピックを目指すとか。
美遠:あ、それはないです。
乙武:ずいぶん即答でしたね。それはどうしてですか?
美遠:やっぱりパラリンピックをもっと知ってもらいたいんで。
乙武:なるほど、明快ですね。では、美遠さんご自身ではなくても、今後「クラス11(知的障害クラス)」に出場する資格がありながらも、あえてオリンピックを目指すような選手が出現する可能性はありますかね?
美遠:身体(障害)のほうではパラリンピックに出て、オリンピックも出るという選手もいたりするので、知的でもそういう選手がいていいと思います。
乙武:同じパラリンピックでも身体障害や視覚障害にはずいぶん注目が集まるようになりましたが、知的障害の部門はまだまだというか、そういう部門があることもあまり知られていないように思います。
美遠:やっぱりパラリンピックというと身体(障害)だと思われていますし、実際に知的(障害)は競技も少ないですし。そういう部門があるというのはあまり知られていないですよね。
乙武:知的障害者を対象とした大会としては、スペシャルオリンピックスもあります。これは両方あったほうがいいのか、どちらか1つに絞ったほうが大会の価値が高まるのか。美遠さんはどう思われますか?
美遠:パラリンピックの知的(障害)だと、陸上、水泳、卓球の3つしかないので、スペシャルオリンピックスに参加する選手のすべてがパラを目指せるわけではないんですよね。だから、両方あったほうがいいと思います。
乙武:知的障害部門の競技数が少ない理由としては、2000年のシドニーパラリンピックで、バスケットボールの知的障害クラスに出場したスペイン代表チーム12人中10人が健常者だと発覚したという事件の影響も大きいように思います。当事者として、あらためてこの件についてどのようにお感じになりますか?
美遠:どのように……?
乙武:たとえば、「悔しい」とか「バカにされているような気がする」とか、逆に「そこまでして目指してくれてうれしい」とか。
美遠:ああ、やっぱり悔しいですね。そして、周りの見る目が変わってくるからイヤだなって。
乙武:そうですよね。2020年で知的障害卓球の魅力を多くの人に伝えるためには、何より美遠さんの活躍が欠かせないと思います。応援しております。
美遠:ありがとうございます。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら