あるいは別の見方をすると、涼子さんと母親は、ある意味「勝った」のかもしれません。一見、法的に守られた姉やその母親のほうが立場は上に見えますが、実際により苦しんだのは彼女たちのほうだったとも考えられます。
涼子さんは、いわゆる“婚外子差別”的なものを受けたことはないそうです。たしかに家族の形としては、ただのひとり親家庭ですし、自分から言わない限り、他人にそうとはわかりません。親が事実婚の人たちに話を聞いても、やはり婚外子の立場で困ることは特にないと言います。
ではもしかすると、父に別の妻子がいることを知らされないほうが、悩まずに済んだのかな?という気もしますが、涼子さんに聞くとやはり、「真実を教えてほしかった」とのこと。
もっと早く本当のことを教えてくれたら…
「子どもって結構、大人の事情に気付いているものだから、やっぱりちゃんと言ってほしかった。大人は『隠し通せる』と思っているけれど、そのうちどうせ、わかることなので。今でも『なんであのとき、本当のことを言ってくれなかったんだろう』という思いが残っています。
私が小さかったから、説明しても理解できないと思ったのかもしれないけれど、それは違うでしょう。もしもっと早く本当のことを言ってくれていたら、姉とも、もう少し近づけたかもしれない。大人はよく『うそをついてはいけない』とか言うけれど、いちばん大きなうそをついていたじゃないって(苦笑)」
小さいときに、本当のことを教えてほしかった――。この連載インタビューで、繰り返し聞く言葉です。大人たちはよく、子どもの出自にかかわる話をうやむやにしてごまかすのですが、結果、子どもが受けるショックは計り知れないものがあります。
大人たちはよく、意識しておきたいものです。
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