子どもというのはたびたび、大人が思いもつかないことを「自分のせい」と思い悩むものです。おそらく母親は、涼子さんのためにほかの人と結婚しなかったわけではなく、単に父親より好きになる人が現れなかっただけだと思うのですが。
未婚の母は、しばしば世間から「子どもがかわいそうだ」などと責められますが、子ども自身はそんなことで自分をかわいそうだとは思っておらず、むしろ母を「かわいそう」と感じていたりするのでしょう。ですがもちろん、母親が置かれた状況も、子どものせいなどではありません。
涼子さんの家と、姉の家との関係も、不思議なところがあります。ドロドロにいがみあっていてもおかしくない両家ですが、聞いたところ、もう少しオープンな間柄のようです。
「私が中学生の頃、大人になった姉が、うちの母に思いをぶつけたんですよ。母が一時期、自分を育ててくれたことには感謝しているけれど、その後、私は苦しい思いをした、と。でも姉はその気持ちをぶつけてすっきりしたようで、『もう私には関係のないことだから』と、水に流すようなことも言っていました。私に対しても『腹違いのきょうだいということは、普通に受け止める』と言ってくれて……」
姉やその母親も、置かれた状況としては、涼子さんたちと大して変わらなかったのかもしれません。父親と法的に家族ではあったものの、ずっと苦しい思いはしてきたのでしょう。
姉が涼子さんをきょうだいと受け止め、負の感情をぶつけたりしなかったことには、ほっとさせられます。
姉の母親からは恨みをぶつけられて
しかし涼子さんは後に、姉の母親から恨みをぶつけられます。1度目は3年前、母親の葬式のとき。事前に来ると聞いていた姉が体調を崩し、代わりに姉の母親が無断で現れたうえ、「(涼子さんの母親が)亡くなって清々しているが、恨んではいない」などと言い残していったそう。
2度目は昨年のお正月。父に招かれて、やむなく父の家に顔を出したところ、そこでまた「昔、涼子さんの祖父から侮辱されて傷ついた」「(涼子さんの母親が)羨ましかったし、疎ましかった」などと、思いをぶつけられたのです。
姉→涼子さんの母親。姉の母親→涼子さん。つらい思いをしたのは涼子さんと母親も同様で、言い返したってよさそうですが、涼子さんに聞くと、「私も感情をぶつけ返したからといって、何かが解決するわけじゃないし」とのこと。
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