インターネット界の「図書館」はどこへ行く?

金儲けではない、もうひとつの世界

インターネット界の「良心」は何をめざす?(写真:The New York Times/アフロ)

IPOだ、買収だと、何かと騒がしいインターネットの世界で、忘れてはならないもうひとつの半分がある。それは、インターネットを万人が平等な機会を得るために使われ、立場にかかわらずテクノロジーが人々の生活や能力を向上させるために利用されるべきだと考えるイノベーターたちの世界である。

「インターネットの良心」とでも呼ぶべきその半分の世界の代表格が、ブリュースター・ケールだ。

ケールは、インターネット・アーカイブという非営利組織の創設者として知られている。インターネット・アーカイブは、いわばデジタル時代のアレキサンダー図書館。「すべての知識へ、どこからでも等しくアクセスできること」を目指して、ウェブサイト、書籍、映画、音楽、ニュース、コンサートなどのアーカイブ化を推し進めている。

政府からも企業からも独立した「知識の倉庫」

ウェブサイトをアーカイブするということだけを取っても、気が遠くなるような話ではないだろうか。2012年の段階で、世界には63億を超えるウェブサイトがあり、この数は日々増えている。同じサイトでも、その内容や構造を作り替えたりすると、また違ったものになる。インターネット・アーカイブは、そうしたすべてを保存しているのだ。

ケールがこうしたことを行っているのは、どんな企業活動からも政府からも独立した知識の倉庫を作っておきたいからである。

今までわれわれは、町の図書館をよく利用してきた。図書館には、無数の書籍や雑誌がある。必要とあれば、別の図書館から本を取り寄せたりもしてくれる。自分が望みさえすれば、無限の知識世界にアクセスできる場所が図書館だった。図書館は人々のために運営されてきたのだ。

デジタル・テクノロジーやインターネットの時代になって、われわれはコンピュータやモバイル機器を手にするようになり、居ながらにして知識にアクセスできるようになったと思っている。ところが、ケールはこれに危機感を覚えているのだ。

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