「弊社の採用のポリシーは、『能力の高さよりも、一緒に働きたい人を採用する』こと。そんな人材と出会うために、これまでも弊社はインターンシップなどで、優秀な学生と接する努力をし続けてきました。しかし、約20人程度の採用チームだけでは、限度があります。また弊社の業務内容もネット広告業だけでなく、メディア事業やゲーム事業などに広がってきたことで、各事業で求める人材像が異なってきました。それなら、人事だけでなく、現場の社員もいっしょになって、新卒採用を行ったほうが良いのではないかと考えたのです」
以前から、インターンシップ生の受け入れなどで協力している事業部の社員は多くいたが、今回のプロジェクトでは、さらに深く採用活動に入り込んでもらった。自分たちが求める人材像を明確にし、そうした人材を引き寄せる戦略の立案や、採用企画の発案・実行までを、事業部の社員に担当してもらうことにした。
「ダンスインターン」など多彩なプログラム
携わる人数は合計で400人。これは同社の社員数(会社単独で約1500人)の3割弱にも相当する。「400人以外の人もインターンシップ生と交流することがありますから、『社員全員が採用担当』といってもよいかもしれません」(石田氏)
「YJC」プロジェクトが立ち上がってから、今年で2期目だが、同社の新卒採用には、大きな変化が生まれている。明らかに変わったのは、インターンシップだ。
「いっしょに働きたい人を採用する」という考えから、インターンシップは以前から積極的に行っていたが、2020年新卒採用で行うプログラム数は50以上に達する。YJCを導入する前と比べ2倍以上に増えているという。
内容も、より一層、バラエティに富み始めた。基本的にビジネスコース、エンジニアコース、デザイナーコースの3つに分類されるが、その中には1カ月間かけて社内のさまざまな部署を体験するプログラムや、社員とともにデザインづくり挑戦するプログラムなど、種々のパターンが用意されている。これらは、現場の社員のアイデアから生まれたもので、ユニークなものも増えたという。
中には1泊2日でキャンプ場に行き、バーベキューやキャンプファイヤーをするという「キャンプファイヤーインターン」や、ダンスサークル出身者だけを集めた「ダンスインターン」といったものも存在する。
「キャンプファイヤーはかしこまった場所でワークショップをするより、自然のなかでともに生活したほうが、人間性も見えてくる。ダンスは、社内で活躍している人の多くがダンスサークル出身者だから、という発想から生まれたものです。いずれも、現場の社員の『こういう人がほしい』という人材像がもとになっています」(石田氏)
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