AIが予測、100年後の「絶品料理」はどんな味か 「世界一美味しくない」といわれる食材を使用

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松嶋:そういえば、この間ニューヨークへ行って衝撃を受けたんです。バーで牡蠣を頼んだら、レモンのほかに、ケチャップと西洋わさびとタバスコが出てきました。「何だこの組み合わせは?」って。

「こんなものを食べているから、アメリカ人は味覚が悪くなるんだろうな」って思いながら食べていると、そのうち口が麻痺していくんです。舌がバカになるというか。そうなると、人はお腹がいっぱいにならないと満足できないんです。それが、肥満の原因なのではないかと思いました。

コロンブス以来の発見

牡蠣というのは本来、味蕾(みらい)を作ると言われています。舌の上にあるレセプター(編註:味覚を感じる受容体)を、牡蠣が持っている亜鉛が作ってくれるので、牡蠣を食べると味覚がよくなると言われているんです。

石川善樹(いしかわ よしき)/1981年、広島県生まれ。東京大学医学部健康科学科卒業、ハーバード大学公衆衛生大学院修了後、自治医科大学で博士(医学)取得。「人がより良く生きるとは何か」をテーマとして、企業や大学と学際的研究を行う。専門分野は、予防医学、行動科学、計算創造学など。近著に『仕事はうかつに始めるな』(プレジデント)、『ノーリバウンド・ダイエット』(法研社)など。(写真:HILLS LIFE DAILY)

石川:確かシェフは、時々味覚を治すために牡蠣を食べるんですよね。

松嶋:はい。にもかかわらず、タバスコなんかをかけるわけです(笑)。「すごいなぁ、アメリカは」って。基本的にアメリカは刺激を受けることに幸福を感じている国で、その価値観の延長線上に、そうした味付けがあるのだなと。

で、その時ふと思ったんです。唐辛子って、英語ではチリペッパーとかホットペッパーというわけで、そうか、コロンブスは唐辛子を、当時は高価で貴重だったペッパー(胡椒)としてヨーロッパへ持ち帰ったんだなと。

そうやって間違った認識で世界に広がったから、世界の人たちは「スパイシー」イコール「辛い」になり、「辛くておいしい」につながったのではないかと。そして、辛さで口内が麻痺したままいろいろなものを食べるから、過剰摂取が生まれているのでは……ということに気が付きました。これ、世紀の大発見だと思います。

石川:コロンブス以来の(笑)。

メインとなった鳩。そばの蜂蜜を塗ってローストし、火が入ったら、もう一度蜂蜜を塗り、バーナーで炙った。「日本の照り焼きっぽくしたいと思いました。いろいろな国の文化を、ミックスした一皿になればと」(松嶋氏)(写真:HILLS LIFE DAILY)

松嶋:そう(笑)。コロンブスが犯したミスを、僕が再発見したわけです。そういう背景もあって、今日は牡蠣を用意したわけですが、何が言いたかったかというと、「コロンブスは世界中をごちゃ混ぜにしたんだな」ということです。で、まあそれも「和」かなと。

石川:おもしろいですね!

松嶋:レシピを作る時は普通、「この食材の原産地はどこだろうと」考えていくわけですが、今回の食材には何の共通性もないんです。でも、共通性がないということが逆にいいのかなと、今回は考えました。

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