AIが予測、100年後の「絶品料理」はどんな味か 「世界一美味しくない」といわれる食材を使用
石川:大いなる和を考えなければいけないと。
松嶋:そう。特に次のフォアグラとかぼちゃのラビオリは、みんなで考えあっているような一品だと思います。
石川:なるほど。料理というのは普通、中心となるものがあって、それをどう輝かせるかという風に考えるわけですよね。
松嶋:そうですね。普通は、その土地で採れるスターをみんなで支える感じなのですが、今回は寄せ集め、といったところです。
新しいものは美味しいと思いにくい
松嶋:ところで、今回石川さんが言うところの「大いなる和」の定義って何だったんですか?
石川:先日、すごいことに気がついたんです。1972年にノーベル平和賞を受賞したマザー・テレサに、ある時メディアの人が質問をしたんです。「平和のために、私たちには何ができますか?」って。
それに対してマザー・テレサは、「家に帰って家族を愛してください」と答えました。だけど今の時代、家に帰っても家族がいない人がたくさんいます。日本はこれから、どんどんそういう社会になっていきます。マザー・テレサが言っていた時代は、ひと昔前になってしまったわけです。
だからこそ、いろいろな人が集まって、ひとつになるということが大切なのではないかと。何を食べるのかと、誰と食べるのか。それが、平和への一番の道なのではないかと、最近、強く思っているんです。
松嶋:じゃあ、AIのアルゴリズムを変えようと思ったのはなぜ?
石川:図で説明しますね。右に向かって「ノベルティ」、上に向かって「クオリティ」が上がるグラフです。日本語で言うと、ノベルティは新しさで、クオリティは質の高さです。オレンジの曲線があり、その周辺に点々があると思います。
このひとつひとつの点は、世界各国のレシピになります。ご覧のように、ほとんどの点は曲線の内側に入っています。これは何を意味しているかというと、「新しさと質の高さは両立しにくい」ということなんです。言い方を変えると、新しいものはおいしいと思いにくいんです。