「メルケル後」のドイツとEUは新たな局面へ

「これでよいのか」という迷いも否めず

ドイツ与党CDUの党首にはクランプカレンバウアー氏(左)が決選投票の末、選出された(写真:ロイター/KAI PFAFFENBACH)

12月7日に行われたキリスト教民主同盟(CDU)の党首選はアンゲラ・メルケル首相の推すアネグレート・クランプカレンバウアー幹事長が勝利を収めた。2000年4月以来、約18年間党首を務めたメルケル体制がついに変わることになる。もっとも、あくまでメルケル首相の「腹心」の勝利となったことで、ドイツ政治のあり方が急激にメルケル路線(中道路線)から変わることはなさそうである。

CDUはメルケル体制下で徐々に左傾化を進めてきたとされる。こうしたアプローチが伝統的な宿敵である左派、キリスト教社会同盟(CSU)の支持層を切り崩したと同時に、近年は「ドイツのための選択肢(AfD)」を筆頭とする右派勢力の増長を許したという批判もある。

今回の党首選は中道路線を継承するクランプカレンバウアー幹事長と保守(右派)回帰をかかげるフリードリヒ・メルツ元院内総務の一騎打ちとなったわけだが、とりあえずCDUは無難な現状維持を選んだ格好である。とはいえ、党首選は第1回投票でいずれの候補者も過半数を獲得できず、決選投票にもつれ込んだ。結果的にはクランプカレンバウアー氏の517票に対しメルツ氏は482票と接戦でああった。CDU内部に「これでよいのか」という迷いがあったことは否めないが、まずは金融市場へのショックは避けられた格好である。

「何の解決にもなっていない」という評価も

しかし、メルケル路線がCDUを歴史的惨状に追い込んだのにもかかわらず「メルケル首相のカーボンコピー」、「メルケル2.0」などと揶揄されるクランプカレンバウアー氏を選んだことについて、「何の解決にもなっていない」という声はやはりある。ちなみに、「メルケル2.0」はAfDのアリス・ワイデル院内総務の言葉である。

難民に友好的で、緊縮路線を継続し、米国やロシアとは距離を置き、中国とは親密にするというメルケル路線を継続するかぎり、CDUが党勢を回復することは客観的に見ても難しい。クランプカレンバウアー新党首は新幹事長に33歳という若さでなおかつ難民政策に厳格な保守派のパウル・ツィーミヤク氏を指名し党内バランスを保とうとしているが、あくまで「顔」がメルケル首相の分身では、どの程度奏功するのかは不透明である(ただし、幹事長は次期首相ポストでもあるため、これを保守派に譲った意味は小さくないようにも見える)。

クランプカレンバウアー体制が迎える最初の試練は来年5月の欧州議会選挙で党勢を示せるかである。その後、同じく5月にブレーメン特別市 、9月にザクセン州、ブランデンブルク州、10月にチューリンゲン州で選挙がある。2018年の惨敗基調を止められるのかが注目されよう。これらを無事に通過できない場合、メルケル首相が2021年まで首相の座にいられるかは予断を許さない。

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