メルケル首相を一気に追い詰めた逆風の正体

ドラマさながらのメルケル追い落とし劇

10月29日の記者会見におけるメルケル首相(写真:REUTERS/Hannibal Hanschk)

とうとう来るべきものが来た。メルケル時代の終焉の始まりである。10月に行われた2つの州議会選挙(14日バイエルン州、28日ヘッセン州)で与党CDU/CSU(キリスト教民主・社会同盟)が前回比10%ポイント超の得票減による大敗を喫した。

バイエルン州議会選挙(10月14日)同州選挙管理委員会発表

政党名 得票率(%) 増減(ポイント)
キリスト教社会同盟(CSU) 37.2 -10.5
社会民主党(SPD) 9.7 -11.0
自由な有権者(FW) 11.6 +2.6
緑の党 (Gruene) 17.6 +9.0
自由民主党(FDP) 5.1 +1.8
左派党(Linke) 3.2 +1.1
ドイツのための選択肢(AfD) 10.2 +10.2
その他 5.4 -3.3

ヘッセン州議会選挙(10月28日)同州選挙管理委員会発表

政党名 得票率(%) 増減(ポイント)
キリスト教民主同盟(CDU) 27.0 -11.3
社会民主党(SPD) 19.8 -10.9
緑の党 (Gruene) 19.8 +8.7
自由民主党(FDP) 7.5 +2.5
左派党(Linke) 6.3 +1.1
ドイツのための選択肢(AfD) 13.1 +9.0
その他 6.5 +0.9 

その責任をとってメルケル首相は10月29日、次回CDU党大会(12月7~8日)において党首に立候補しないと記者会見で発表した。メルケル氏は2021年の議会任期までは首相の職務は全うするとしているが、その後は政界からも引退すると述べ、ドイツと欧州の政界に激震が走った。

始まったドイツ政局の流動化

一方、退潮傾向著しい連立のパートナーのSPD(社会民主党)も両州議会選挙で同様に10%ポイントを超える敗北を喫し、今年3月に発足した大連立政権は先が見通せない低空飛行に移った。

この両州議会選挙に共通しているのは、伝統的な政党が大敗したことである。CDU/CSUが失った票は、極右ポピュリスト政党のAfD(ドイツのための選択肢)とFDP(自由民主党)、そしてバイエルン州ではFW(自由な有権者)にも流れた。SPDの票はリベラルな緑の党に流れた。

AfDは2州の選挙により全州議会で議席を獲得したが、幸いに大量の不満票がAfDに流れることはなく、イタリアやブラジルで見られるような急激な右旋回は今のところ起きていない。

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