上に立つ者が胸に刻むべき「16文字」の漢字 実績や報酬は国民や社員の汗の賜物である
一方、トランプ自身は開票結果が出た直後に、公式ツイッターで「今夜は、すばらしい成功だった。みんなありがとう!」と述べている。この「すばらしい成功」が、与党共和党がいままでどおり上院の過半数を占めたことだけを指すのかどうかはわからない。
トランプは次の大統領選をにらんで、今後トランプ政権の政策がうまくいかなった場合、その責任を政策実行の主役となる下院の多数派である民主党に転嫁し、大統領選で共和党支持を確保する材料にしようと狙っているという観測もある。
しかし、もしトランプの本心がこの観測どおりであるならば、それこそ「下民は虐げやすい」と国民を見誤っているのではないか。下民を侮れば、必ずその報いが返ってくる。
トランプ大統領の思惑はともかく、貿易収支をめぐるアメリカ、中国の報復関税の応酬は世界経済にとって大きな懸念材料である。
中間選挙後、トランプ大統領の中国に対する発言は、選挙前の激しさに比べると落ち着いてきたように見える。中国は、いわば「売られたケンカを買う」格好で、関税の「報復合戦」に踏み切った。したがって、アメリカが態度を軟化させれば、中国も折り合いを求めて、双方の妥協点を探る動きに変わるかもしれない。
中国、アメリカは世界の民に責任を持て
現在の中国は、習近平の一強体制で国内が安定している。国内が安定している習近平にとって、国民の支持浮揚を狙って国外で国際的に軋轢を生じるような強硬な政策を打ち出す必要はない。対外政策の柱である一帯一路も、世界の人々への悪印象を避けるべく周辺国との利害衝突を離れ、もっぱら援助、救済に軸足を置く方向へ舵をきるものと思われる。
AIIB(アジアインフラ投資銀行)の委員を務める鳩山由紀夫元総理は、習近平から「一帯一路の目的は第1に平和であり、繁栄は第2である」と聞いたという。だが、一帯一路に対する日本政府の態度は、相変わらず懐疑的である。いまだにAIIBへの参加にも踏み切れていない。
私は、日本がAIIBへの参加を警戒し、躊躇する必要はないと考えている。投資というものはそれが優良案件(益大・リスク小)であれば、本来、個々の国や企業が独自に行い、リターンを独占するものだ。
経済的に考えればAIIBやADB(アジア開発銀行)のような、いわば参加各国が協調して融資を行う案件は益小リスク大が多いから単独では行わないだけのことである。ADBも、AIIBも、その程度の融資機関なのだから、日本は明日にでもAIIBに参加すればよい。
一帯一路は、中国が覇権を拡大することが狙いだという見方が圧倒的に多い。やみくもに覇権や影響力を拡大することは前述したとおり、ある意味で援助や救済よりもさらに大きな責任を、他国の民に対して負うこととなりかねない。14億人の自国民に対して責任を負うだけでも現況の国際情勢では大変な習近平に、他国民に対する責任をさらに拡大する余裕があるとは思えない。
一帯一路で目指すのは、周辺国の国民から反感を買いかねない覇権の拡大ではなく、援助、救済を軸とした平和の構築にあるという習近平の言葉は相応の現実味があるように思う。一帯一路の成功は、そこに暮らす民を尊重し、民を大切にする施策を実行できるか否かにすべてがかかっていると言ってよいだろう。
そういう意味では、21世紀の世界はパックス・アメリカーナも、パックス・シニカも、自国第一主義では成功はおぼつかないし、世界の信頼は得られないだろう。とりわけ2大大国のトップは戒石銘の4句16文字を心に刻まれんことを改めて強調しておきたい。
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