中国の方針転換が世界中の反感を買っている 習近平氏が渡ろうとしている「危ない橋」
一世代前の中国の発展は目覚ましいばかりで、国際的な枠組みの外側にあった国がその中心となり、貧しい辺境の地からあまたの富と権力を有する地位にはい上がってきた。国際問題には「身を潜める」方針で臨むことで世界第2位の経済大国となったものの、その戦略が作り上げた状況も変化している。そして中国に対する反発がそこかしこから始まっている。
習近平国家主席のもと、中国政府はつねに攻撃的かつ態度を明確に示した外交政策を推し進めており、歴代の国家主席が慎重に避け続けてきた「注目」を集めている。中国からの投資や、中国とのかかわりをほんの数年前は歓迎していた国々も、今では中国からの影響力に対抗するために結集し始めている。
「目立たぬこと」を心がけてきた中国
国際社会が中国の興隆を受け入れようとし始めたのは冷戦終結の時である。ソビエト連邦の崩壊を受け、西洋の国々、なかでも米国は自分たちが作り上げたと信じる世界秩序に新たな国々を加えることに積極的だった。
1990年代を通じて、通商の自由化を進める力と、ソビエト社会主義に対する西側の勝利が「歴史の終わり」を宣言したというフランシス・フクヤマの論文に対する信頼は絶頂を迎えていた。その結果、中国の独裁体制に対する懸念は西側諸国の政府の間では一様に棚上げされた。ことさら米国は、中国の世界貿易機関への加入を推し進めた。
これがやがて中国の経済成長をもたらす転換点となる。21世紀に入って、米国の戦略的関心の中心は、イスラム教徒によるテロ、中東およびアフガニスタンに移り、欧州諸国ではユーロと欧州連合(EU)の成長に意識が向けられるようになった。日本だけが一世代前の中国の権力に対する野望について戦略的な焦点を当て続けていた。