中国の方針転換が世界中の反感を買っている 習近平氏が渡ろうとしている「危ない橋」

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そして決定的なのが、習主席の提唱するインフラ構想「一帯一路」である。莫大な金額の対外計画投資を包括した用語である。最近では、スリランカの地元企業が中国の要求する過度の負担付き契約を不履行としたことで、スリランカの港の所有権を取得するに至った。現地での抗議が高まったことで、中国とスリランカの今後の協力体制に照準が当たり、中国からの投資を受けるそのほかの国々にとって警戒心を呼び起こさせた。

中国は、1つ前の世代では提携と「西側帝国主義」への抵抗というイメージを築いてきたが、習主席はそれを投げ捨て、自国の行動が世界でどのように受け止められるかということには関心すら示さない自信のある尊大な大国といったイメージを選んでいる。

明らかに、これこそが、中国共産党の利益にかなうものだと判断してのことである。党は国家主義者の言明を党の国内基盤を強化するために用いることはよくあることだ。

世界の国々が中国に不快感を示している

こうした中、米国では貿易面での反中感情が膨れ上がっており、米政府の新たな戦略上の指令では、かつてはもっと穏やかな言葉が使われていたが、中国を敵対的な「修正主義大国」と認めている。カナダとオーストラリアの政治家らも、中国による国内問題への介入について不快感を露わにしている。

オーストラリアでは、中国関連のビジネスマンからなされた上院議員への支払いをめぐる最近のスキャンダルを受け、政府が外国人によるオーストラリアの政党への寄付を禁止する計画を発表している。

広範にわたる一帯一路構想の一部となるパキスタンは通常なら友好国であるが、中国からの過大な約束と過少の実行の矛先となっている。中国・パキスタン経済回廊として知られる計画において3つの主要なパキスタンの道路への資金供給を突然停止したと報道されている。今週に入って、フランスのエマニュエル・マクロン大統領は中国を公に非難する行動をとり、一帯一路構想は「新たなる覇権となってはならず、そうなってしまえば、そこを通過するものは皆家臣に変えられてしまう」と述べた。

中国が過去にその動機や目的について、西側諸国と発展途上国の両方から疑いの目を向けられることはなかった。中国政府の外交は批判に対峙するよりも、それをはぐらかせたり、そらせたりすることに経験上長けている。

中国共産党の内部方針は「核心的利益」をほぼ絶対的に保護することである。これは、世界中に対して外交的懸念を発している国にとってよい前提ではない。中国政府がこの向かい風をどう処理するかで中国がどんな国になろうとしているのか、そして世界において新しい役割をどのように担っていこうとしているのかが見えてくる。

著者のピーター・マリノ氏は、ニューヨークに拠点を置くシンクタンク、メトロポリタン・ソサエティの創設者であり、グローバル・ナラティブ協会のシニア・リサーチャー。このコラムは同氏個人の見解に基づいている。
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