ボーっとしてると損をする「年末年始のお金」 チコちゃんの叱咤が大人の身にしみる

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地震保険は公的な保険であり、保険会社によって保険料が変わることはない。高いというイメージがあるようだが、東京の木造建物の場合、保険金額1000万円当たり3万6300円(割引なし、1年払いの場合。2018年までの数字)。月当たりに直すと約3000円。驚くほど高いという金額ではないはずだ。地震保険には建物の耐震性などにより各種の割引が利用でき、また5年払いにすればもっと保険料を下げられる。3回目の改定も待ち構えていることだし、今年のうちに長めに加入しておいたほうが安く済むことは確かだ。

2019年からもボーっとできないこと、もろもろ

ここまでは2018年内にしておくべきことを書いてきたが、年が改まってから起きることもある。1つが「出国税」(国際観光旅客税)だ。

2019年1月7日以降、飛行機や船舶で日本から出国する際に、1人1回1000円を納めることになる(ただし、2歳未満の子どもや、2019年に限っては2019年1月7日より前に発券された航空券で2019年1月7日以後に出国する場合は対象外)。出国税を納める方法は、利用する船舶会社・航空会社が各チケット代金に1000円の出国税分を上乗せし、その会社が納税するという仕組み。これまでと同じ旅行のつもりでいたら、払うお金が1000円多くなっていた……ということになりそうだ。

政府によると、導入の目的は、観光先進国を目指し、旅行環境の整備や強化を図る財源とするためだという。しかし、海外出張が多い会社にとっては頭が痛いことだろう。

さらに、2019年からは長年放ったらかしで忘れているわれわれの預金が、公的な活動のために使われることになる。「休眠預金等活用法」により、2009年1月1日以降に10年間取引などがない預金(普通預金、定期預金、貯蓄預金など)は休眠預金等とされ、預金保険機構に移管されることになった。その後は指定活用団体に交付され、さらに段階を経て最終的に公募によって選ばれた団体に助成や貸付をされて、社会的弱者を支援する民間公益活動に使われる――という流れになっている。

なお、休眠化しないためには「異動」が必要だが、それは何かというと、まず預金の入出金だ。通帳記帳や残高照会については、各金融機関が行政庁に「これを異動として認めてください」と求め、許可を受けていれば認められる。何を異動とするかは金融機関ごとに異なり、ネット銀行は、入出金のほかに取引口座へのログインがあれば異動と見なすというところも。それぞれ自行のホームページなどで公表されているので確認しておこう。

いったん休眠預金になったとしても、元の預金者が申し出をすれば、取引のあった銀行で引き出すことは可能だ。ただし、これまでのようにATMでキャッシュカードを使った引き出しはできず、通帳やカード・本人確認書類を持参して手続きすることになる。つまり、銀行口座を休眠させないためには、定期的に入手金をし、引っ越しをしたら住所変更をし、姓が変わったら変更手続きをし――と、絶え間なくメンテナンスが必要なのだ。

ボーっと生きていてはいけない。確かにおっしゃるとおりです。

松崎 のり子 消費経済ジャーナリスト

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まつざき のりこ / Noriko Matsuzaki

20年以上にわたり『レタスクラブ』『レタスクラブお金の本』『マネープラス』などのマネー記事を取材・編集。家電は買ったことがなく(すべて誕生日にプレゼントしてもらう)、食卓はつねに白いものメイン(モヤシ、ちくわなど)。「貯めるのが好きなわけではない、使うのが嫌いなだけ」というモットーも手伝い、5年間で1000万円の貯蓄をラクラク達成。「節約愛好家 激★やす子」のペンネームで節約アイデアも研究・紹介している。著書に『お金の常識が変わる 貯まる技術』(総合法令出版)、『「3足1000円」の靴下を買う人は一生お金が貯まらない』(講談社)、『定年後でもちゃっかり増えるお金術』(講談社)。
【消費経済リサーチルーム】

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