38歳・名古屋の残留請負人「玉田圭司」の進化 ベテランになってわかった「考える」の重要性
2012年以降、2ケタ得点を挙げられずに苦しんでいた玉田が、J2といえども2015年に10ゴールをマークできたのも、フォルラン効果が少なからずあったのだろう。
同年ラストのJ1昇格プレーオフ決勝・アビスパ福岡戦では、値千金の先制弾も挙げた。年間4位だったセレッソがJ1昇格を果たすには、年間3位の福岡に勝つしかなかったが、彼の一撃によって可能性は一気に広がった。
が、残り3分というところで失点。1-1のドローでタイムアップの笛を迎え、つかみかけていたJ1切符を失った。この瞬間、玉田は人目をはばからずに号泣。そこまで感情をあらわにしたのは、プロ生活でも初めてのことだと言っても過言ではなかった。
1勝することの重み
「あんなに『勝ちたい』って思ったことは人生の中で初めてだったかもしれない。それくらいあの試合には懸けるものがあったんです。サッカー人生を長くやればやるほど、1つの勝負に対しての思いは強くなる。『1勝することがこんなに難しいのか』って痛感させられることがホントに多いですからね」
そう語気を強めるのも、まさに今、名古屋がJ1残留争いの真っただ中にいるからにほかならない。
2017年に3年ぶりの名古屋復帰を果たした玉田は1年でのJ1昇格に貢献したが、今季は再びJ2落ちの危機に苦しんでいる。
12月1日の最終節・湘南ベルマーレ戦を残した現時点での順位は16位。
仮に14位の湘南に敗れれば、その時点でJ1昇格プレーオフ決勝行きが決まってしまう。が、逆に勝てばJ1残留を引き寄せることができるのだ。
前述のとおり、セレッソ時代の2015年に一発勝負の怖さをまざまざと感じ、2017年は何とか勝ち上がってJ1行きをつかみ取った玉田にしてみれば、もう2度と経験したくない大一番のはず。それを回避するためにも、最終節は自らの力でチームを勝たせるしかない。
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