会社の閉塞感を打破する「社内FA」の可能性 有能な人ほど同じ部門に固定される悲劇

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意欲的にキャリアアップを考える社員を1つの部門に縛りつけるのは、会社にとって有益なのだろうか(写真:xiangtao/PIXTA)

プロ野球はポストシーズンに入り、有力選手の「FA(フリーエージェント)宣言」による争奪戦がマスコミで話題になっています。ちなみにFAとはどの球団とも選手契約を締結できる権利をもつこと。自分の意思で来年度以降の所属球団を決められるのです。ある意味、自己責任で自分の将来を決められる人生の岐路となる権利といえます。

球団全体に普及しつつあるFA制度

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権利が行使される秋には「自分の評価を聞いてみたい」と、他球団と面会して条件提示を受ける選手の様子は、この時期の恒例行事でもあります。が、今年はチームの主力級など注目選手が多いからでしょうか。例年以上に報道が過熱している気がします。

なかでも、広島カープ・丸選手には長期契約や監督処遇の手形付きなど破格の処遇が提示されているとのこと。これまでFAを活用する球団といえば、読売ジャイアンツのような資金力が豊富な球団だけが他球団の4番やエース級をごっそり引き抜くので、FA制度に批判的な意見が出た時期もありました。ただ、最近はチーム財政の格差が小さくなり、FAを巧みに活用するチームが増えつつあります。埼玉西武ライオンズの浅村選手は複数球団のオファーがある中から東北楽天イーグルスを選択。こうして、優秀な選手が自らの意思でさまざまな球団に移籍することでチームは大きく変わることでしょう。

ちなみに日本のプロ野球で選手数が約900名でその10%程度が資格を保有していますが、権利所得には9シーズンの出場選手登録日数が必要。さらに権利を得られても活躍している選手でなければ他球団からオファーが得られません。ゆえに権利を行使して他球団に移籍、しかも、高待遇を得られる選手はわずか4~5名。選手全体の1%にも満たないわけです。それだけ希少な、選ばれた選手にだけ与えられた特典と言えます。

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