元グノシーの「DMM新CTO」松本勇気が抱く夢 コードで定義される世界の先頭を走りたい
松本さんは、技術者としてのアイデンティティーを守りつつも、企業経営や組織運営など、ビジネスサイドの仕事にも自ら率先して取り組んできた。
DMMのCTOは、「技術×経営」の両方を味わい尽くすことができる最高のポジションだと目を輝かせる。
「未来をつくり変えてしまうような技術の現場にいるのはすごくワクワクします。それと同時に、僕は『事業』も好きで、お金や投資について考えることも楽しいと感じる。どちらにも共通するのは、エンジニアリングの要素があることですね」
経営もエンジニアリングの1つ。その言葉の真意を聞くと、次のような答えが返ってきた。
「組織を運営するための仕組みをつくり、そのもとで社員みんなが楽しそうに走り出していく瞬間を見るのが好きなんです。
それは、エンジニアリングでコードを書いてサービスが動く瞬間や、改善してユーザーが増える瞬間にもよく似ている。多分、『上手くシステムが回り出す』というのが自分にとってのやりがいなんだと思います」
メッセージを渡さずして、人は動いてくれない
そんな松本さんがCTOとして貫くポリシーの1つは、社内コミュニケーションに透明性を持たせることだ。自分の考えや学びを、常に社内に発信するよう心掛けているというが、「透明性あるコミュニケーション」を意識するようになった背景には、前職での“失敗経験”があると明かす。
「グノシーにいた最初の頃、僕はエンジニアリングだけに専念していたんです。
でも、CTOになって突然、『人』や『組織』という不確定かつ巨大な課題に対処することになり、解決できないことに山ほど直面しました。エンジニアリングだけで対処できないことが増え過ぎて、幾度となく心が折れそうになったんですよね」
その時に、半年~1年という時間をかけて気付いたのが人間同士のコミュニケーションをおろそかにしてはいけないということだった。「当たり前のことなんですけどね。当時の僕は、その基本を忘れていた」と語る。