高速鉄道めぐる日本とインドの「同床異夢」

輸出と現地生産、どちらがベストシナリオ?

2017年9月に行われたインドの高速鉄道の起工式には、安倍首相(中央左)とインドのモディ首相(中央右)が出席した(写真:PMIndia)

「本社の食堂でカレーライスを食べていると、『君、インドに興味あるの? だったらインドで仕事をしませんか』と、声をかけられるんですよ」。JR東日本(東日本旅客鉄道)の関係者が苦笑交じりにこんな話を披露してくれた。

インドでは、日本の新幹線方式による同国初の高速鉄道プロジェクトとして、ムンバイ―アーメダバード間505kmを約2時間で結ぶ計画が進んでいる。2015年12月に実施された日印首脳会談で覚書が交わされ、2017年9月には安倍晋三首相も出席して起工式が行われた。2023年の全線開業を目指す。総工費は約9800億ルピー(約1.5兆円)。そのうち8割は円借款で賄われる予定だ。

高速鉄道起工式でルートについて説明を受ける安倍首相(右から2番目)とインドのモディ首相(右端)(写真:PMIndia)

JR東日本の子会社・日本コンサルタンツ(JIC)が高速鉄道の技術基準の作成や設計、入札業務に関するコンサルティング業務を受託している。JR東日本も総力を挙げてサポートしている。

ただ、目下の悩みは人手不足。JR東日本はグループ全体で100人を超えるスタッフを投入しているが、まったく足りていない。冒頭の話は、こうした状況を端的に示している。

インド高速鉄道のキーマンが大勢来日

JICはオールジャパン態勢による鉄道インフラ輸出の尖兵となるべく、2011年に設立された。筆頭株主はJR東日本で、JR西日本、JR九州、東京メトロなども出資する。JR東海は出資こそしていないが、数名の人材をJICに送り込み、インド案件に協力している。

11月初旬、インド高速鉄道のキーパーソンたちが大挙して日本にやって来た。11月6日に都内で運輸総合研究所主催による「高速鉄道セミナー」、11月8日には福岡市内で高速鉄道国際会議(IHRA)主催による「IHRA国際フォーラム」という国際的なセミナーが相次いで開催されたためだ。

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どちらのセミナーにもインドの高速鉄道プロジェクトが主要テーマとして盛り込まれており、インド側の要人がプロジェクトの現状や今後について講演した。また、IHRA国際フォーラムの翌9日には九州新幹線長崎ルートの建設現場や熊本市内にあるJR九州の新幹線車両基地などの視察も行われた。インド側関係者にとっても新幹線の実情を知る貴重な機会になった。

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