ついに着工「インドネシア高速鉄道」最新事情

沿線に立ち並ぶ中国語の旗、開業は2024年?

ジャカルタ―バンドン間高速鉄道のワリニ駅予定地付近に立つ高速鉄道会社の看板(筆者撮影)

ジャカルタ―バンドン間高速鉄道、中国に発注――。日本とインドネシアの関係に激震をもたらした衝撃的な決定から、早くも3年が経過した。当初の開業予定年度である2019年までは長く見積もってもあと1年弱。しかし、これまで一向に工事の進捗は見られなかった。当初予定どおりの開業が不可能であることは、誰が見ても明らかである。

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だが、これを中国に事業を託したインドネシアの手落ちと断じるのは時期尚早だ。2018年も半ばになり、ようやく本格的な着工の兆しが見えてきた。最近の政府高官発言では、2024年開業という新たなスケジュールが出るなど、目が離せない動きが増えている。

いよいよ建設が始まった

筆者は月に数回、平日朝に高速道路でジャカルタ東方のチカンペック方面からジャカルタに向かうが、その渋滞がここ数カ月、以前にも増して悪化しており、途中のカラワン料金所からまったく進まないことがある。高速鉄道の事業主体であるインドネシア中国高速鉄道(KCIC)の発表によると、東ジャカルタ(ポンドックグデ)―カラワン付近は、ほぼ高速道路脇の緩衝地帯に高架を建設するという。これは工事がいよいよ開始したのではないかと車窓に目をやると、これまで囲いだけがあった高速鉄道用地に一部重機などが搬入され、工事車両も出入りしていた。

そこで、2016年1月に起工式が開かれ、唯一進捗が見られていたワリニ駅付近を訪れた。国鉄(KAI)線の最寄り駅であるマスワティ駅からバイクタクシーで山道を駆け上がると、そこには第8国営農園会社の立て看板があり「農園会社保有地・高速鉄道ワリニ駅開発予定地」との文言がある。さらに進むと、高速鉄道会社が設置した同様の看板もあったほか、中国語による道路標識が目に留まった。

漢字で「安全第一」と書かれたのぼりが並ぶ建設現場。付近の道路標識にも中国語が見られる。監督は中国人で、作業員は地元住民が多いという(筆者撮影)

高速鉄道の建設現場はちょっとした盆地のようになっており、トンネルとトンネルの間に駅が建設されるようだ。この盆地に面した斜面は赤土がむき出しになっているか荒れ地になっており、農園会社の保有地が高速鉄道用地だけでなく、駅を中心とした一体開発に転用されることがうかがえた。

工事現場入り口にはKCICの展示ホールがあり、その裏手には作業員用宿舎が並ぶ。30人ほどの中国人が寝泊まりし、作業監督をしているとのことだ。現場の様子を見に来ていた地元住民グループに聞くと、工事はちょうど4カ月ほど前から始まったそうだ。作業員は地元在住の農業や自営業からの転職が多いようで、警備員によると約800人ほどのインドネシア人作業者が従事しているという。現在、トンネルは100mほど掘り進んでいる模様だ。

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