政府は、当初、「特定技能1号」、「特定技能2号」などの外国人の技能の定義とその身分的な扱い(例えば、特定技能2号なら家族を帯同して無期限に在留可能等)などを大まかに法律で決めて、受け入れる外国人の総数も、外国人労働者を受け入れる業種も、それぞれの技能の認定基準も、役所が政令等で決められるような形で法案を通そうとしていたようだ。
しかし、さすがに、受け入れの総数も、職種も、技能の認定に関する基準も明確にせずに、入管難民法だけを改正して政府がフリーハンドを得ようというのは無理筋だ。
政府は、外国人労働者の受け入れ総数について、来年度に最大4.7万人、今後5年間で最大34万人を受け入れの上限とする方向で最終調整中だと報じられている。ただし、当面上限を設けるとしても、5年目以降は役所の裁量で自由に決められる「ゆるゆる」の状態になる可能性があり、有効な歯止めになるとは思えない。一方、「この人数で足りるのか」という問題もあり得るだろう。何れにしても、判断の根拠無しに人数だけを論じるような議論に意味はない。
KPIの決め方は案外簡単!?
こうした状況にあって、(恐らく過大な大きさの)裁量を持つだけの政府以外の関係者にとって問題なのは、業種や労働者のスキルに対して外国人労働者をどれだけ受け入れるのかに関する、ある程度客観的な「基準」だろう。言わば労働力の不足度合いと外国人労働者受け入れの適切性を判断するKPIが必要だ。
外国人労働者のライバルとなる日本人労働者にとっても、外国人労働者をより多く雇い入れたいと思う経営者にとっても、さらには果たして日本で働くことを目指すか否かを考える外国人にとっても、このKPIは重要だろう。また政府としても、問題を真面目に考えるなら、例えばどのような業種や職種に対して、どの程度外国人労働者を受け入れたらいいかを説明できる客観的な「指標」が欲しいはずだ。
実は、外国人労働者の受け入れを判断するためのKPIを決める基本的な考え方は、案外簡単ではないかと筆者は思う。
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